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「無駄なレースを挟まず、ぶっつけ出走がベター」異端ローテで挑むアルクトスに注目/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年02月20日(木) 18時00分
 近未来にはステップレースという言葉は死語になるかもしれない。ふとそう思わせたのが、GII弥生賞(3月8日)出走に向けて先週14日、美浦トレセンに帰厩したワーケアである。当舞台は牡馬クラシック戦線において“王道”とされる皐月賞TRだが、興味を引かれたのは管理する手塚貴久調教師が告げた、この一言だ。

「新馬勝ち後は、ずっと間隔を取って使ってきたように、まだ体質が弱く、疲れが抜けるのに時間を要する馬。もし弥生賞を勝って賞金を加算できるようなら、皐月賞はパスしてダービーに直行することも考えている」

 無論、理想は続けて使えるタフさを備えることだが、裏を返せば、これも久々を不問とする調教技術の進化の表れ。近年のクラシックはトライアルという概念が崩れつつあるが、もはや3冠にすら価値を見いだす時代ではないのかもしれない。

 さて、ステップ不用という意味でも今週注目したいのは、GIフェブラリーSに出走するアルクトスである。GI昇格後の過去23回で優勝馬の最長のレース間隔は06年のカネヒキリ(12節=JCダート以来)。昨年10月14日の南部杯から4か月ぶりの出走は、「叩き台」という言葉が現存するダート界において異例と言えば異例だ。

「当初は武蔵野S(11月9日)を使うことも視野にあったが、南部杯で賞金を加算できたため無理をしなかった。元来、一戦ごとの消耗が激しいタイプ。これまで休み明けで結果を出してきたことも踏まえれば、無駄なレースを挟まず、ぶっつけ出走がベターという判断に至った」

 今回の臨戦過程をこう説明するのは管理する栗田徹調教師。一方で、GI仕様の仕上げにも抜かりない態勢を口にする。

「これまでは追い切るとダメージが出たため、調整を手控えざるを得なかったが、最近はトモの感じが良くなったのもあり、ウッドでしっかり追えるようになってきた。ウッドの走りが得意ではないため、動きは目立たないが、しっかり負荷をかけられているのは強みですね。中間に皮膚炎を発症して重めを心配した南部杯ゴールドドリームには先着。サンライズノヴァには、うまくすくわれてしまったが、調整は今回のほうが、ずっとスムーズなので」

 ダート路線に転じたモズアスコットに周囲の期待は高まるが、異端のローテで臨むアルクトスの挑戦も注目して損はないはずだ。

(美浦の宴会野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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