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野中三羽ガラス最後の真打ち シヴァージはインティ、グリムより評価上だった/トレセン発秘話

  • 2020年03月25日(水) 18時00分
 仮に「三羽ガラス」的な評価を受けた競走馬たちがいたとしても、3頭揃って出世するケースはそうはない。しかし、2頭はすでにバリバリの重賞ウイナーに出世。そして残った1頭が、実は3頭の中でも最も評価されていたとするなら…。春のスプリント王を決する第50回高松宮記念(29日=中京芝1200メートル)で「トレセン発秘話」火曜担当の高岡功記者が発掘したのは、出世しない理由がない、とっておきのお宝馬だ。

 一昨年の秋、野中厩舎には大いなる可能性を持った3頭の馬がいた。

 ダート中距離の条件戦を圧勝の連続で勝ち上がっていたインティに、1200~1600メートルのダート戦で好戦を続けていたシヴァージ。もう1頭がすでに夏場に重賞(レパードS)を勝ち、実績を残していたグリムだ。

 そして、この時点での3頭の比較で、野中調教師の評価が最も高かったのは、重賞ウイナーのグリムでも、のちのフェブラリーSの覇者インティでもない。実はシヴァージだった。

 実際、一昨年秋より前の段階でシヴァージは“GIレベル"の走りを見せていた。6月の2勝クラス・青梅特別(東京ダ1600メートル)で記録した勝ち時計1分35秒2(重)は、同日のGIIIユニコーンS(1分35秒0=重)に0秒2差と迫る優秀なもの。しかも、ユニコーンSの勝ち馬がのちに古馬相手にチャンピオンズCを制したルヴァンスレーヴなのだから、その価値の高さが分かろう。

 そこまで関係者の評価、そして実際の走行性能が高かったシヴァージが、その後どうして伸び悩んだのか…その原因は分からない。が、芝路線に活路を求めた今、再び輝きを放ち始めたのは紛れもない事実だ。

「もともと“軽い芝でいいんじゃないか"と思って(米国の)セールでオーナーに買ってもらった馬だったからね。実際、ダートに使っていた時でも、いい競馬をしたのは馬場が軽い時が多かった。ダートを走らせていたのはずっと体質が弱かったから。骨瘤が出たりして、使った後にガタッとくることが多かったんだ。ここにきてようやくしっかりしてきたから“じゃあ芝で"ということになったんだよ」(野中調教師)

 まだオープン特別の北九州短距離Sを勝っただけにすぎないが、「小回りの小倉で、あの位置(4角13番手)から差し切れたのは、大きく評価していいと思う」と満足そうに振り返るトレーナーは初のGIを前に、こう言葉を続けた。

「ダートとはいえ、東京で何度もいい競馬をしていた馬だから、左回りに替わるのはいいと思う。もちろん、中京なら前回より直線も長くなるので、レースも明らかにしやすくなるからね。ここでもいい走りを期待できるんじゃないかと思っているんだ」

 芝のキャリアはわずかに3戦。積み上げてきた実績や持ち時計を比較してしまえば当然、人気馬たちには大きく劣る。しかし、GI馬(インティ)よりも、そして現重賞5勝馬(グリム)よりも評価が高かった馬が、ようやく能力をマックスに出せる舞台にたどり着いたのだとすれば…。シヴァージの大駆けを期待してみたくなりませんか?

(栗東の坂路野郎・高岡功)

東京スポーツ

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