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対岸の火事ではないドバイWCデー開催中止/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年03月26日(木) 18時00分
 ドバイWCデーの開催中止が日本の関係者に伝わったのは22日(日曜)の午後10時のことだった。

「出国手続きを済ませて税関をくぐり、11時半のフライトを待っていた矢先のこと。矢作調教師伝いで連絡が入り、中止の一報にがくぜんとしたよ。結局、車で中山から成田空港まで送ってくれた息子(翔助手)を再び呼び寄せ、美浦に戻ったのは日付が変わってからだった」

 当時の状況をこう説明するのは、アーモンドアイ(ターフ)、カレンブーケドール(シーマクラシック)2頭の出走を予定した国枝栄調教師。同厩舎の椎本英男助手は当初予定した19日に入国許可が下りず、21日まで待たされて直前に移動。そんなドタバタ劇を目にしていただけに、最悪のシナリオもおそらく頭の片隅にはあったろうが…。すべてを徒労に終わらせるには、決断が少々遅すぎたとは言えよう(ドバイレーシングクラブ当局の開催に向けたギリギリまでの努力は評価しても)。

「新型コロナの世界的蔓延から、いまや国際競走自体が成り立たない時期とも言えます。スタッフが入国して2週間の隔離を余儀なくされる以上、4月の香港遠征も現実的ではないでしょう。今後は宝塚記念が目標になると思いますが、まずは体調を崩さず無事に帰国してほしいもの」

 一方でこう語ったのはウインブライト(ドバイターフ)の畠山吉宏調教師だった。急きょの中止で機材手配が整わず、すべての遠征馬の帰国日が決まらぬ現状だが、かたやドバイ国際空港閉鎖の噂もあり予断を許さぬ状況は続いている。改めて遠征リスクの大きさを物語る出来事である。

 ただ、今回のドバイ開催中止は決して対岸の火事ではない。米ニューヨーク州では22日時点で感染者が1万5000人を超え、医療崩壊を起こしているという。現在、パート1国で競馬が問題なく開催されるのも日本だけであり、もし東京都がロックダウン(都市封鎖)を実行すれば競馬も厳しい現実を突きつけられることは想像に難くない。

 おそらく、競馬関係者の感染においても事態は同様だろう。ゆえにトレセンでは25日からオーナーの出入り禁止措置を取っており、多くの競馬関係者がいま感染阻止に向けて最大限の努力を講じている。むろんそこに携わる端くれとして、一瞬の気の緩みも許されない日々がまだ続く。

(美浦の宴会自粛野郎・山村隆司)

東京スポーツ

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