中京コース全面改修の2012年以降、
高松宮記念は臨戦過程に注目すべきレースとなっています。単に前哨戦を勝った馬が
高松宮記念で有利という話ではありません。それぞれの前哨戦にはそれぞれのラップ的特徴があり、それをもとに
高松宮記念を読み解く面白さを体感できる構成になっているのです。
まず注目したいのは、「
シルクロードSで逃げずに好走した馬」です。 そもそも、京都で行われる
シルクロードSは基本的に内の先行馬が有利なレースであり、“内枠からの4角先頭”が勝ち馬の基本形。この形で
シルクロードSを好走した馬は、京都芝1200mコースの恩恵を大きく受けていると考えられ、次走への期待値は押し並べて低い傾向にあります。
逆に、
シルクロードSを逃げずに“人気で好走できた馬”の
高松宮記念成績を見てみると、2012年1番人気3着だった
ロードカナロアを筆頭に、2017年に5番人気で制した
セイウンコウセイや翌年2番人気で勝った
ファインニードルなど、コース全面改修の2012年以降9頭すべてが
高松宮記念で掲示板に載る(5着以内)好走。人気薄での一撃も見込めるだけに、今年これに該当する
アウィルアウェイには注目しておきたいところですね。
続いて注目しておきたいのが、「
オーシャンSは、人気で敗れた馬」です。ズブズブの消耗戦コース、数ある
JRA1200m重賞のなかでも1、2を争う厳しいラップになる
オーシャンSは、基本的に
高松宮記念にはまったく結びつきません。
事実、コース全面改修の2012年以降、
オーシャンS勝ち馬の
高松宮記念成績は散々なもの。2013年4番人気4着
サクラゴスペルが最高で、2番人気で15着と惨敗した昨年の
モズスーパーフレアは記憶に新しいところです。(※2012年
オーシャンS勝ち馬
ワンカラットは、そのレースを最後に引退のため割愛)
しかし
オーシャンSで人気に推されるということは、“それ以前の短距離重賞”で強さを見せていたということ。むしろ
オーシャンSでは流れが合わず、“人気を裏切ってしまった馬”にこそ注目すべきです。その点、
ダノンスマッシュと
タワーオブロンドンの対照的な構図にあるのは面白い視点かもしれません。
最後に
阪急杯組ですが、こちらは「そのまま
高松宮記念に直結する流れ」になっています。
阪急杯はラップ構成上、
高松宮記念とリンクしやすい傾向にあります。
高松宮記念が施行される中京芝1200mは、直線約413m。これは1200m戦が行われるコースとしては国内最長の直線距離です。ちなみに2番目に直線が長いのは新潟内回りの約359m、次いで阪神内回りの約357m。中山競馬場は310mで、中京芝の1200mだけが突出しているのです。
こういった直線の長いコースはラップが緩みやすく、その結果、
高松宮記念のラップは他場の1200mコースよりも1400mコースに似た構成になる傾向。すなわち
阪急杯を“人気で好走できる馬”は、そのまま
高松宮記念でも通用する可能性が高いということになります。
今年の
阪急杯からは 勝ち馬の
ベストアクターが
高松宮記念に参戦できず、小差2着(3着に降着)の
ダイアトニックに注目といったところでしょうか。しかしタイムで比較するなら、同じ阪神競馬場の芝1400mで行われた昨年末の
阪神カップ、1分19秒4が脅威。計算上は1分20秒3の
ベストアクターと
ダイアトニックの『5馬身ほど先』に
グランアレグリアが存在していることになるのです。
ウマい馬券では、ここからさらに踏み込んで
高松宮記念を解析していきます。印ではなく『着眼点の提案』と『面倒な集計の代行』を職責と考える、岡村信将の最終結論にぜひご注目ください。
(文=岡村信将)
今週はキムラヨウヘイ、RENA、馬場虎太郎が
高松宮記念に断を下す! 昨年の波乱は再び繰り返されるのか? 3人のプロたちの
ジャッジやいかに!? 予想の参考にぜひ!