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ダイアトニックに漂う大物食いの予感/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年03月28日(土) 11時00分
 入社以来、二十数年を中京スポーツの営業部員として過ごしてきた私にとって、2014年にチャンピオンズCが加わるまで、長く中京競馬場で開催される唯一のGI競走だった「高松宮記念」は愛着のあるレース。その中でも12年の第42回開催は特に印象に残っている。

 この年の中京競馬場は、約2年の大規模改修工事により、それまでの平坦小回りコースから、直線の長い本格コースに生まれ変わった、いわばニュー中京競馬場元年。当然、営業的にもたくさん仕事をいただいたし、3月のオープニング開催には生のJRA観戦に飢えた名古屋周辺の競馬ファンが連日詰めかけ、特に高松宮記念当日は身動きひとつに苦労していたことを思い出す。

 そんな思い出深い年の勝ち馬カレンチャンと、同年3着で後に希代のスプリンターと呼ばれるロードカナロアを同時に担当していたのが、今回取材をさせていただいた安田隆厩舎の岩本助手だ。

「新しいコースということで、ただでさえ情報が少なかったうえに、個性が異なる2頭。いろいろ難しかったですね。カイ食いが細くなりやすいカレンチャンと、逆に太りやすい体質の(ロード)カナロア。真逆だっただけに考えることは本当に多かった。でも楽しくもありましたね」

 そう当時を懐かしんでいた。あれから8年。くしくも記念すべき(?)私の競馬記者歴初の高松宮記念に、安田隆厩舎から送り込むダノンスマッシュダイアトニックもまた、岩本助手が手塩にかけた馬たち。8年前と同様、彼らもそれぞれが異なる個性の持ち主だ。

 ダノンスマッシュはスプリント路線で重賞タイトルを次々に手にして、あと一歩でGI戴冠というところまで来ている。前走のオーシャンSは発馬はイマイチながら、終わってみれば完勝。当面のライバルとなるタワーオブロンドン(3着)に実に0秒7差をつけた。

「当時は斤量が2キロ差あったので“ここで負けるようでは本番で勝てるわけがない”という気持ちで臨みました。勝ち方としては言うことなし。イメージ通り、いやイメージ以上の強い勝ち方でしたよね。海外遠征などを経て、さらに成長しました」と、そのさらなる進化ぶりに目を細める。

 対してダイアトニックは初の1200メートル参戦ながら、大物食いの期待を抱かせる馬。前走の阪急杯(3着降着)はここを見据えての先行策だった。

「スタートも良かったし、この距離でも普通に対応できそうですね。もともと乗り手に従順で、競馬のしやすい馬。前走は出して行ったけど、本番では逆に持ち味の末脚を生かす競馬をするかもしれない。僅差で勝ちを何度も拾ってきている馬だし、競り合いになればなるほど楽しみですね」と、こちらも色気十分だ。

 例年以上に豪華メンバーが集まった今年の高松宮記念。王道を行くダノンスマッシュが並み居る強豪を退けてGIタイトル奪取となるのか、それとも伏兵ダイアトニックの一発が決まるのか。もちろん、8年前のように両馬揃って馬券になる可能性は十分だろう。

(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

東京スポーツ

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