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クラシックへ直行する馬が増えた要因を探る

デイリースポーツ
  • 2020年03月31日(火) 13時45分
 3月28日に行われた毎日杯サトノインプレッサが勝利し、牡馬クラシック初戦となる皐月賞(4月19日・中山)の前哨戦が終了した。例年以上に目立つのは、ホープフルSを制したコントレイル朝日杯FSの覇者サリオスなど、有力馬のG1直行だ。前者を管理する矢作芳人調教師(59)=栗東=は、「育成技術の進歩だと思う。休み明けのノウハウができてきたのも大きい」と指摘していた。

 以前は、前哨戦を叩いて本番に向かうのが主流だった。90年からの20年間で、トライアルや毎日杯以外を使った皐月賞馬は、きさらぎ賞から臨んだ90年ハクタイセイの1頭だけ。それが近10年で大きく様変わり。共同通信杯ステップにしたのが12年ゴールドシップ、14年イスラボニータ、15年ドゥラメンテ、16年ディーマジェスティの4頭。昨年の勝ち馬サートゥルナーリアは、前年のホープフルS以来の休み明けだった。

 日々、トレセンで取材をしていても変化はある。調教でもメニューや馬体重、調教時計の数値を記録してデータ化し、タブレットやスマホ、複数のホワイトボードなどを用いてスタッフ間で共有する厩舎が増えた。以前は調教助手や厩務員の経験で大きな差も出ていた育成技術が、数字の可視化などによって全体的に底上げされ、休み明けのデメリットを補えるだけの態勢が整ってきているのだろう。

 京都2歳S覇者で4戦3勝のマイラプソディや、若葉Sを制し、京都新聞杯からダービーを目指すアドマイヤビルゴなど、クラシックの有力馬を管理する友道康夫調教師(56)=栗東=が、「牧場でもしっかりと乗ってくれるしね」と話すように、放牧先の存在も大きい。トレセンと牧場が緊密に連携し、一体となって調整することで、立ち上げからレースまでよりスムーズに向かえるようになった。

 一方、友道師は直行が増えた要因として、「デビューが早くなったことで、そこまでに賞金加算できるようになり、トライアルを使わなくてもよくなった」という点も挙げていた。12年度から、従来より2週間前倒してダービー翌週から新馬戦がスタート。それに伴い、仕上がりの早そうな馬は、積極的にデビューさせていく傾向が強くなっている。

 加えて、ホープフルSがG1に格上げされ、重賞を増やすなどしてレースの体系を整備したことも大きい。賞金加算するための選択肢が多くなり、より適性の高そうなコースや距離を選びながら実戦を重ね、育成を進めることも可能になってきている。2歳戦を中心に少頭数のレースが目立つようになった点に課題は残るかもしれないが、馬にとって決して悪いことではない。

 さまざまな路線から強豪が集結し、栄冠を目指して競う。どの馬が強いのかを、使ってきたレースレベルを分析し、調教の動きや陣営のコメントなどを元に状態、コース、距離適性、展開を考えて予想する。私自身、難解になればなるほど面白く、的中時の喜びも大きいと感じているし、未対決の馬同士の激突は、どっちが強いのかを想像するだけでワクワクしてくる。

 今年の3歳牡馬クラシック戦線はかなりの粒ぞろいで、例年以上に熱い戦いが期待できる。現在、JRAは無観客開催が続いている。新型コロナウイルス感染拡大で、その活躍の場が奪われないことを強く願う。普段通りとはいかないが、現状の形でレースを楽しんでいるファンの希望まで奪わないでほしい。1日でも早く、大歓声が響く競馬の日常が戻ってくる日を心待ちにしている。(デイリースポーツ・大西修平)

提供:デイリースポーツ

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