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【皐月賞】ガロアクリークのふるさと 笠松牧場関係者の想い

  • 2020年04月17日(金) 19時06分
 皐月賞トライアルのスプリングSで、10頭立ての6番人気で上位人気馬をまとめてなぎ倒してアッと言わせたのがガロアクリーク(牡3・美浦・上原博之)だ。スプリングSの最終追い切りで初めて同馬に騎乗したライル・ヒューイットソン騎手が「動きが軽くて素質を感じますし、重賞でも十分戦えると思います」と囲み取材で好感触を伝えていたのが印象的だったが、その感触通りの見事な勝ちっぷりで皐月賞への切符をもぎ取った。

 ガロアクリークが生まれたのは、北海道浦河町の笠松牧場。同牧場は2008年のNHKマイルC日本ダービーとGI2勝のディープスカイを生産したことでも知られているが、今回その時以来、12年振りのGI制覇の期待がかかる。

 笠松牧場の水上行雄代表の長女の水上千歳さんは「大きな子だなという印象でした」とガロアクリークが生まれた当初を振り返った。だからと言って特別目立った存在だったわけではない。

「当時のノートを見返したりしたのですけど、怪我や病気もなくて、強烈なインパクトがあるという馬ではありませんでした。男の子ですからヤンチャな面はありましたけど、それも特に問題になるようなものではなかったですね」(千歳さん)

 人の手をわずらわすことなく、いわば健康優良児として順調に成長をしたガロアクリークは、1歳の秋に生まれ故郷から育成牧場へと旅立っていった。

 ガロアクリークの父はキンシャサノキセキだが、全兄弟にあたる1歳上のマーベラスアゲンの出来がなかなか良かったこともあり、もう1年続けて同じ種牡馬を配合することとなったという。そして生まれたのがガロアクリークだった。父は勝った重賞が1200-1400mと短距離に強かったため、ガロアクリークが2000mの新馬戦であっさりと勝ち上がたことは、牧場サイドとしてちょっとした驚きだったようだ。

 そしてデビュー2戦目がホープフルSといきなりのGI出走。この馬の持つポテンシャルの高さに対する厩舎サイドの期待の表れのように感じたが、千歳さんも「先生が(この馬を)認めてくださったからこその挑戦だったのだと思います」と話す。

 そのホープフルS(11着)、続く水仙賞(4着)と結果こそ伴わなかったが、スプリングSでは豪快な末脚を繰り出して、上位人気の馬たちをまとめて差し切ってみせた。ガロアクリークがトップでゴールインした瞬間「皆絶叫していましたが、私はテレビの前でポカーンとしていました(笑)」と千歳さん。それほど驚きの勝利だったのかもしれない。

 年間約7000頭生産されるサラブレッドの中からたった18頭しか出走が叶わない皐月賞という晴れ舞台に生産馬を送り出すのに、コロナウイルスの影響で現地での応援は残念ながら叶わない。それでも水上さん一家は前向きだ。

「通常なら父が競馬場に行っているはずで、牧場には誰かがいないという状況だったと思うんです。でもスプリングSの時もみんなでテレビの前で応援して大いに盛り上がりましたし、今回も全員揃って生産馬を応援できるという楽しみや喜びがありますね」

 遠い北の大地からの大声援が、中山の坂を駆け上るガロアクリークを大いに後押しするに違いない。ゲートインは刻一刻と迫っている。

(取材・文:佐々木祥恵)

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