私は気象予報士という職業を生かし、季節馬激走予想を行っています。まずレース当日の気温を12度未満の「寒」、12度以上18度未満の「涼」、18度以上25度未満の「暖」、25度以上30度未満の「暑」、30度以上を「酷暑」とした5段階区分けし、配当妙味のある季節馬を特定。
さらに
JRAの馬場発表をもとに馬場状態を解析、分類します。それらの独自情報を活用し、それぞれの気候・馬場に合った穴馬を抽出。ここでは、過去10年の気候成績から激走馬の傾向を分析。当日気候レベルを想定し、激走が期待できる馬を抽出しました。
【今年のポイントは脚質、気候適性、馬場】
梅雨入り時期での開催となる
エプソムC。過去10年での勝ち馬は1-5番人気のみと、堅いレースになっていますが、近年の激走馬には脚質の変化が見られます。また今週は木曜から土曜にかけての雨により、時計のかかる馬場となる見込みです。ここでは激走の脚質分析や気候成績を中心に、注目馬を抽出していきます。
過去10年の人気別成績を見てみると、1番人気は4勝を含む6連対、複勝率70%と信頼度は高そうですが、直近3年は勝ち星から遠ざかっています。2番人気も3勝を挙げており、1、2番人気がともに圏外になったのは13年のみとなっています。
過去10年の気候は「暑」が5回、「暖」が4回、「涼」が1回となっています。激走馬は過去10年で8頭。「1-5番人気の馬2頭」+「激走馬1頭」のパターンが8度あり、2、3着に食い込んでくる激走馬の見極めが重要となります。
エプソムCの注目ポイントは3点。まずは「近4年の激走馬3頭すべてが逃げ、先行馬だった」点です。
14年に8番人気で3着となった
ダークシャドウのように、10-14年までは差し馬の激走も見られたものの、16年に6番人気で3着した
マイネルミラノ、翌年の3着馬
マイネルハニー(6番人気)、昨年の2着馬
サラキア(7番人気)は、いずれも逃げ粘ったものでした。
また勝ち馬に目を移すと、過去10年で逃げ馬の勝利は15年の
エイシンヒカリ(2番人気)1頭しかおらず、10頭中8頭が4コーナー6番手以内となっています。人気馬をピックアップするなら好位付けのできそうな差し馬、激走馬は逃げ、先行馬に注目したほうがよさそうです。
2つ目は、連対馬20頭中10頭が「『暑』-『酷暑』で2勝以上または複勝圏率70%以上。そのうち6頭が『寒』で未勝利」という点です。いわゆる“夏馬”というと言葉は過ぎるかもしれませんが、気候のデータからも暑い時期に調子を上げてくる傾向が見られます。
例えば、14年に2番人気で勝利した
ディサイファ「暑」-「酷暑」で[1-3-1-1]だった一方、「寒」では[0-1-2-3]と奮わず、翌年の勝利馬
エイシンヒカリも「暑」-「酷暑」で[2-0-0-0]だったのに対し、「寒」では[0-0-0-1]。昨年5番人気で勝利した
レイエンダは「暑」-「酷暑」で[1-1-0-0]、「寒」では[0-0-0-0]でした。
また稍重-重となった18、19年に限ってですが、馬券圏内に入った6頭中4頭が「準OP以上の稍重-不良で連対の実績がある」点も見逃せません。
以上をふまえて、私が注目しているのは5頭です。まず、穴馬では
アンドラステ。デビューからの2戦は、どちらも逃げきっての2連勝。暑で[1-1-0-0]、稍重-重[3-0-1-0]と、気候、馬場適性からも注目です。
稍重-重で2勝の実績があり、昨年の
湾岸Sでは逃げ切り勝ちを収めた
マイネルファンロンも穴候補と睨んでいます。
人気馬で取り上げたいのは
アイスストームです。前走のメイSは9番手から差し切っての勝利。寒は[0-0-1-3]であるのに対し、暖-酷暑では[4-0-1-2]と優秀なのも強みです。
もちろん、昨年の優勝馬
レイエンダも落とすわけにはいきません。昨年のこのレースを稍重で勝利したこともさることながら、暖-暑では[3-2-1-2]。今年も馬場、気候ともに得意な条件になる可能性があります。
そして、最後は
ピースワンパラディ。前走、稍重の
湘南Sでは好位から差しての勝利。今週末の天気をふまえれば、稍重-不良で[2-1-1-0]と、渋った馬場を得意にしている点もプラスに働きそうです。
(文=三宅誠)