100万円超の3連単が土日で4発飛び出すなど、荒れに荒れた先週の東京開催。それを誘発したのは、言わずもがな予想以上に降り注いだ週末の雨であろう。さらに印象的なのは、その4鞍すべてが芝戦であったこと。毎年、当たり前のようにレコード更新される今の芝コース。そんな高速馬場での実績を無力と化す状況下(不良馬場)が人気と反比例する結果をもたらすのは、考えれば当然の摂理かもしれない。
とはいえ、関東でも梅雨入りが発表されたこの時期、高配当をみすみす見逃すのも癪なもの。何とかゲットする手立てはないかと思案する最中、週明けに電話でヒントをくれたのが
武藤善則調教師であった。
「先週の
エプソムC(3連単421万)は、ウッチーにうまく乗られちゃったよな。本来は
アトミックフォース(5着=8番人気)が波乱の立役者になる予定だったんだけどさ(笑)。理想とした2番手からのイン狙いを
ダイワキャグニーの
内田博幸に見事に演じられて、その分、ウチの馬は苦しくなったからね」
実はこの言葉の中に引っかかるものがあった。常識的には各馬が直線で外に出そうとする極悪馬場でイン狙い?果たしてどんな真意がそこに込められるのか?
「首の使いが良くて跳びの大きい馬、いわゆる走りのきれいなタイプは難しいだろうけど、ウチのは頭が少し高く回転の利いたフットワーク。こういう走りをする馬は、たいがい道悪でノメらない。ロスなく立ち回ることこそが、チャンスを広げるんだ」
思えば同レースで逃げた
トーラスジェミニ(18番人気)も、実際に最短距離を通って3着粘走。極悪馬場の中距離戦は、案外、逃げ&先行馬が狙い得なのだろう。
「走法だけでなく、馬体から測れば、爪が小ぶりで立っていたり、飛節の角度が深いタイプは雨をこなすイメージ。あとは血統だね。実は今週の東京で
スペクタクルという新馬をデビューさせるんだけど、ダート巧者の
ヘニーヒューズ産駒をあえて芝に使うのも週末の雨を見込んでのこと。今週こそ、(武藤)ミヤビとのコンビで穴を出したいと思っているんだけどね」
つまりはピッチ走法で爪が小さく、飛節が深い先行馬こそ道悪で買うべき馬ということか。敬愛するトレーナーの助言に従い、今週こそ100万馬券をゲットしてみたいものである。
(美浦の雨男野郎・山村隆司)
東京スポーツ