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カデナを穴指名!阪神内回りは一瞬の切れ味を最大限に生かす舞台/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年06月24日(水) 19時40分
 競馬記者歴が長いほど「先入観」に毒される。経験則に基づく「GIでは足りないだろ」という漠然とした感覚。これこそが穴馬券を取り逃す最大の要因なのかも…。第61回宝塚記念(日曜=28日、阪神芝内2200メートルの「穴番」に指名されたのは、競馬記者に転じて2年目の元広告営業マン・鈴木邦宏。余計な先入観などあろうはずもない、ピュアに競馬を楽しむ男だからこそかぎつけられる穴馬とは果たして!?

 昨年8月の小倉記念。優勝したメールドグラースを道中ぴったりとマークしていたカデナが、優勝馬をしのぐ勢いでゴール板を駆け抜けたシーンは、今でも脳裏にハッキリと焼き付いている。私の眼前で繰り広げられた2頭の圧倒的なパフォーマンスは、3連単馬券的中の興奮と相まって「競馬って本当に面白いな」と改めて思わせてくれた。いわば私の競馬記者人生のスタート地点と言ってもいいくらいのレースだ。

 しかし、本来のカデナはローカルGIII・2着で称賛されるようなレベルの馬ではない。何せ京都2歳S弥生賞と重賞連勝を決めた当時はクラシック候補の一角に挙げられていた馬なのだから…。それが皐月賞の9着惨敗から2年にわたって低迷。ようやく復調の兆しが見えてきた時期がちょうど前述の小倉記念あたりだった。

 陣営には当然、強かった2歳〜3歳春時のイメージが色濃く残っているのだろう。今回お話をうかがった担当の江藤厩務員に「前走の大阪杯(4着)は大健闘でしたが…」と切り出したところ、「あれくらいは当然。もっとやれると思っていたくらいだよ。この馬がGIを勝つなら、あそこだと思っていたんでね」といきなりガツン。4着で大健闘は、元値の高さを考えれば、確かに失礼な振りだった。

「ここ最近の活躍の要因はやはり成長だね。去年の春くらいから、ぼちぼち体つきが良くなってきて、それに伴い、競馬の内容も良くなってきたんだ。もともと、賢くて扱いやすい馬だからね」と江藤厩務員。調教パートナーの柴田助手も「低迷の理由をひと言で言えば体ができていなかったからだと思う」と話しているように、その操縦性の高さを生かせる馬体がようやく完成しつつある、ということなのだろう。

 そしてもうひとつ。江藤厩務員が前走時に感じていた自信の源は、大阪杯の舞台設定にもあったようだ。すでにお気づきの読者も多いことだろうが、カデナの最近の好走歴の大半は、久々の勝ち鞍となった2月の小倉大賞典を始めとする小回りローカルコースに集中している。カデナの持ち味である一瞬の切れ味を最大限に生かせる最高の舞台こそが、阪神“内回り”という期待感があったからにほかならない。

「ジョッキー(鮫島駿)もよく分かってくれていて、この馬の末脚を信じて思い切って後ろに下げてくれた。やっぱりああいう競馬だよね」と江藤厩務員は振り返る。

 確かに敢然と最後方からの競馬を選択し、内の最短ルートを通って上位勢に迫った鮫島駿の騎乗は秀逸だった(ような気がする)。

 今回の宝塚記念の舞台も、1ハロン距離は延びるとはいえ、同じく阪神の内回りコース。そして鞍上は引き続きカデナを手の内に入れている鮫島駿。こちらの期待もいやが上にも高まってくる。

「暑くなってくるとグッと状態を上げてくる馬。休み明けの形にはなるけど、牧場でもしっかり乗り込んでいたので問題ないし、何よりも心身ともに成長していて、充実期に入ってきた感じがしますね」と柴田助手も、その充実ぶりをひしひしと感じ取っているようだ。

 一度は頂点をつかみかけていた者が、雌伏の時を経て、再び頂点に挑み、かつての輝きを取り戻す――。どんなスポーツでも一番感動を誘うのはそんなシーンだろう。もしかしたらそんなスポーツの醍醐味を味わえるシーンが今週末の阪神競馬場で見られるかもしれない。

 ぜひレース当日は晴天をカデナにプレゼントしてほしいと、テルテル坊主にお願いしようと思っている。

 (元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

東京スポーツ

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