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脚光浴びるアメリカンファラオ産駒 エイシンアメンラーの出世確信させた陣営の言葉/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年08月05日(水) 18時00分
 最近にわかに脚光を浴びているのが、ダート戦を高い確率で勝ちまくっているアメリカンファラオ産駒だ。デビューを果たしたJRAの3歳世代7頭のうち、実に6頭が勝ち上がり、計11勝をすべてダートで挙げている。そのハイライトが先月8日の交流GIジャパンダートダービー。GIIIユニコーンSで5馬身差の圧勝を飾ったカフェファラオと、交流GII兵庫CSで2着のダノンファラオが参戦。単勝1倍台の圧倒的支持を集めたカフェファラオは7着に沈んだものの、ダノンファラオが快勝して産駒初のGIウイナーに輝いた。

 だが…。我々はそのダノンファラオの快走をも吹き飛ばすような“怪走”を目撃することになる。25日の新潟芝外1600メートル新馬戦。アメリカンファラオ産駒のリフレイムは直線で極端に右にヨレ始め、最終的には外ラチ沿いを走ることになりながらも先頭は譲らない、インパクト満点の走りを披露したのだ。そのレース内容の是非はともかく、桁違いの能力を発揮し始めているアメリカンファラオの子供たち。ならばレパードS(日曜=9日、新潟ダート1800メートル)の取材先も、もはや決まったようなもの。アメリカンファラオ産駒エイシンアメンラーを送り出す野中調教師の元へと向かった。

「やっぱり、この産駒に器用さは求められないよなあ」とはリフレイムの新馬戦を見ての師の第一声だ。「ウチのエイシンアメンラーもワンペースで不器用な馬。今まで勝ったのは行き切れた時だけなんだ。力は相当あるんだけど、気難しくて馬混みを嫌がるので、条件が整わないと苦しいんだよね。まあ、ウチのも心身ともにまだまだビルドアップが必要な段階」となかなか手厳しい注文が並んだが、それは当然、期待の裏返しでもあるだろう。

 エイシンアメンラーの調教パートナーを務める湯浅助手によると「基本的にはおとなしいんだけど、いわゆるオンオフがハッキリしている馬。一度機嫌を損ねると、なかなか直らないので、そのあたりに注意しながらの調教になりますね。カイバ食いがいい割に肉付きがもうひとつなのは、神経質なところが原因なのかな」。多少、手を焼いていることがうかがえるが、「心身ともに少しずつ成長しているのは確かだし、やる気スイッチが入った時の能力の高さは間違いない。先々も含め、どんな競馬をしてくれるか楽しみですよね」とその素質にはホレ込んでいる様子だ。

 そういえばダノンファラオの岡助手も「普段の調教ではおとなしくて、操縦性も高い馬なんですけどね。競馬に行くと気難しさが出るのかな。先手を取れれば強いけど、自分の型にハマらないとモロさが出ますね」と言ってたっけ。その特徴はよく似通っており、能力は高いが、それを引き出すにはいろいろと注文が付くのが、このアメリカンファラオ産駒の“カラー”なのだろう。

 よくよく考えてみれば、野中厩舎のダートGI馬インティや売り出し中のロードレガリスもこの手のタイプの馬たちだ。飛び切りの才能を持ちながら、ちょっとしたことで機嫌を損ね、なかなかその気になってくれない。そんなわがままな馬たちを一流に育て上げた野中厩舎には「その気にさせるノウハウ」が何かあるのでは? この馬はきっと出世する――。確固たる根拠はないけど、そう確信している。

(元広告営業マン野郎・鈴木邦宏)

東京スポーツ

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