先月14日の栗東トレセンの火災に衝撃を受けた方は多かったことだろう。火元となった村山厩舎の管理馬が犠牲になり、隣接する中尾、高柳大厩舎にも被害が及んだが、両厩舎とも犠牲になった馬が出なかったのは不幸中の幸いだ。
「呆然と立ち尽くしてしまって…。何もできなかった。かなり煙を吸い込んでしまった馬もいたので、これがトラウマにならなければいいんだけど…」とは火災を目にした関係者。二度と同じ過ちがあってはならない。
GIII
紫苑S(土曜=12日、中山芝内2000メートル)にエントリーしている
ウインマイティーは、村山厩舎から2つ隣の五十嵐厩舎の管理馬。火災が起こる前日13日に放牧先から帰厩予定だったが、手続きの関係で15日に変更になったことで難を逃れる格好に。もちろん、厩舎自体に直接的な被害はなかったのだが、繊細なサラブレッドにとってアク
シデントはないに越したことはない。“2日遅れの帰厩”が吉と出る気がしてならない。
時を戻そう。
ウインマイティーの
オークスウイーク突入時、厩舎から運動に出る際のあまりの歩様の硬さに、15年来の付き合いの柴田助手に「えっ、これで大丈夫なん?」と思わず突っ込んでしまった。それくらい追い切った後にすくんだりすることが多かった馬なのだ。それでいて
忘れな草賞1着→
オークス3着と結果を残してきたのだから恐れ入る。
「あの時の歩様を見て“評価を落とそうかな”と言われたのは今でも忘れていませんよ。当時より背が伸びたし、馬体にも幅が出た。いい夏休みを過ごせたようですね。以前は追い切るとピリピリしてカイバ食いの量が落ちたり、すくみが出たりしたけど、今はそれもなくなって心身ともに成長しています」
柴田助手は当方への恨み節を口にしつつも、春当時とは違う、目下の充実ぶりに自信を見せている。これは評価を落とす必要性はまったくなさそうだなと思いつつも…。関係者の間では当方の「◎よりも▲のほうが好走率が高い」として、それなりの信頼を得ているらしい。となると、
オークス時と同様、
ウインマイティーの印を◎から▲に落としたほうが、関係者にとってはありがたいのか…。印をいったいどうするべきか、頭を悩ませている真っ最中だ。
(栗東の遠吠え野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ