昨年の8月、衝撃の上がり32秒0の末脚でデビュー戦Vを飾った
ウーマンズハート。函館滞在の当方はモニター越しにその強さに驚がくしたのだが、たまたま同馬を担当する深川助手が他馬との兼ね合いで現地にいた。
「びっくりしましたね。2歳Sに使うことになったから帰ります」
栗東に戻った同助手に仕上げられた彼女は
新潟2歳Sも快勝。牝馬クラシック戦線での活躍を期待したのだが…。暮れの阪神JFで4着に敗れ、クラシック戦線は
チューリップ賞から
オークスまで思ったような結果を残せなかった。
「阪神JFは勝ちに行く競馬をしたので仕方のない面はあるけど、春の3戦は気性面で難しいところを見せてうまく調整できなかったです」と深川助手。敗因は前進気勢が顕著になったことに尽きる。「春3戦の中では
オークスが一番いい状態で臨めたけど、さすがに2400メートルは長かった」
深川助手といえば、かつては
オークス、
秋華賞を勝った
カワカミプリンセスを担当した人。「とにかく我が強かったですね。ボクが手の内に入れたことは一度もなかったし、彼女に我を押し通させた感じでした。レースに行けばとにかく気合だけで走っている感じでした」
気の強さが武器だった2冠馬のように、
ウーマンズハートも激しい気性の持ち主だが、放牧から帰厩後は乗り手との意思疎通がしっかりとできているようだ。「春よりも落ち着きが出ているし、とにかく扱いやすくなりました。1週前追い切りも馬の後ろでしっかりと我慢ができていましたから」と深川助手は春からの成長を実感している。
「この血統はほとんど担当させてもらっているけど、みんな古馬になってから良くなるんですよ。父が
ハーツクライならまして遅いかな(笑い)。距離に関しても1800メートルから2000メートルがベスト。先を見据えた仕上げだけど、今回はいい競馬をしてくれるはず。(西浦)先生が定年までに大きなところを取れるようなら…」
来年2月いっぱいで引退する西浦調教師にとって、GIへの出走はもうわずかだけに陣営に気合が入るのは当然。春の敗戦を糧に、勝負の秋に向けて修正ができた
ウーマンズハート。まずは
秋華賞(10月18日=京都芝内2000メートル)の予行演習。新馬、
新潟2歳Sで見せたあの豪脚が中京の長い直線で炸裂するはずだ。
(栗東の遠吠え野郎・難波田忠雄)
東京スポーツ