中京芝2000mを舞台とする
ローズステークスのゲートが開いた。
4番
ヤマニンプティパが好スタートから先手を取ると、17番
エレナアヴァンティが内に切れ込みながらハナを奪った。10番の
アブレイズが3番手。
川田将雅が乗る1番の
リアアメリアは、これらを先に行かせて好位に控えるのかと思いきや、1コーナー手前で
ヤマニンプティパの外に出し、
アブレイズとの間を割るようにして2番手を確保。そのまま1、2コーナーを回って行く。
「もともとこういう競馬をしたいと思っていました。この中間は、こういう競馬をしようと考えながら調整過程を歩んできて、そのとおりの走りができました。自分のリズムで、この馬の特性を生かすつもりで競馬を組み立てました」
そう話した川田は、手綱をガチッと抑え、逃げる
エレナアヴァンティを1、2馬身前に見る2番手にポジションを固定した。すぐ外には
アブレイズがマークするようにつけているが、自分のリズムを崩さず、淡々と走りつづける。
1000m通過は1分0秒9。序盤の先手争いが激しくなったわりには落ちついた流れになった。
3、4コーナーでも
リアアメリアは抜群の手応えで2番手につけている。
リアアメリアは、4コーナー出口で
エレナアヴァンティに外から並びかけ、直線入口で先頭に立つと、そのまま後続を突き放しにかかる。
ラスト200m手前で川田の右ステッキが入ったときには、早くも後ろに2、3馬身の差をつけていた。ラスト200mを切ってからもさらに一発右鞭を入れたが、それは気を抜かないようにするための合図だろう。
熾烈な2、3着争いを尻目に、
リアアメリアが2着を2馬身突き放してフィニッシュ。昨年10月の
アルテミスステークス以来の重賞2勝目をマークした。夏を越してプラス14kgとパワーアップし、無敗の二冠牝馬
デアリングタクトに挑戦する態勢を整えてきた。
「やっとこの馬本来の走りをお見せすることができてよかったです。もともとのポテンシャルが高すぎて、以前はそれをぼくが上手く使うことができず、いい内容で走らせることができませんでした。馬体が増えていたこともいい成長で、馬の雰囲気も、とてもよくなっていました。強い競馬でした」
新馬戦から乗りつづけ、このレースが6戦目。悲願のGI奪取に向け、名手が「回答」を提示した結果の勝利だった。
(文:島田明宏)