【牝馬三冠秘話
ヒストリア】
いよいよ
デアリングタクトが史上6頭目、史上初の無敗牝馬三冠に挑戦。4回にわたって、過去5頭の牝馬三冠馬の足跡を振り返る。1回目は86年の
メジロラモーヌにスポットを当てた。
「これはアカンかもしれん-」。86年
桜花賞トライアルの4歳牝馬特別。初めて
メジロラモーヌに騎乗した河内ジョッキーは、そう思って4角を回ったという。インで脚をためているうちに、気づけばまだ進路の見えぬ9番手。だが、直線は抜群の切れ脚を発揮して差し切った。「前と差があったのにね。これはすごいな」。突き抜けた力を確信した。
「イレ込みがきつかったけど、牝馬だからね。競馬に行って良さの出るタイプだった」と河内師は当時を懐かしむ。慌てず騒がず、馬の力を信じればいい。続く
桜花賞からローズSまでの4戦は、全て道中ラチから離れた安全運転で勝ち続けた。
それでも、“史上初”が懸かる当時の牝馬三冠最終戦・
エリザベス女王杯は、さらに慎重に策を練った。「唯一やられるとすればしぶとい
スーパーショットの粘り。直線までに、この馬との勝負は済ませておく」。考え抜いた末が
セオリー無視、淀の外回り下り坂発進だった。
これでいいのだ。「河内、早いのか、これでいいのか」との実況をあざ笑うように、最後は力で
スーパーショット(2着)を圧倒した。
今年は調教師として管理馬の
オーマイダーリンを送り込む。「
秋華賞は内回り二千。強いだけでは難しい。こっちはディープ産駒。春から変わるからな」と不敵に笑った。
提供:デイリースポーツ