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86年メジロラモーヌ セオリー無視の下り坂発進 河内、馬の力信じて三冠奪取

デイリースポーツ
  • 2020年10月13日(火) 06時00分
 【牝馬三冠秘話ヒストリア

 いよいよデアリングタクトが史上6頭目、史上初の無敗牝馬三冠に挑戦。4回にわたって、過去5頭の牝馬三冠馬の足跡を振り返る。1回目は86年のメジロラモーヌにスポットを当てた。

「これはアカンかもしれん-」。86年桜花賞トライアルの4歳牝馬特別。初めてメジロラモーヌに騎乗した河内ジョッキーは、そう思って4角を回ったという。インで脚をためているうちに、気づけばまだ進路の見えぬ9番手。だが、直線は抜群の切れ脚を発揮して差し切った。「前と差があったのにね。これはすごいな」。突き抜けた力を確信した。

「イレ込みがきつかったけど、牝馬だからね。競馬に行って良さの出るタイプだった」と河内師は当時を懐かしむ。慌てず騒がず、馬の力を信じればいい。続く桜花賞からローズSまでの4戦は、全て道中ラチから離れた安全運転で勝ち続けた。

 それでも、“史上初”が懸かる当時の牝馬三冠最終戦・エリザベス女王杯は、さらに慎重に策を練った。「唯一やられるとすればしぶといスーパーショットの粘り。直線までに、この馬との勝負は済ませておく」。考え抜いた末がセオリー無視、淀の外回り下り坂発進だった。

 これでいいのだ。「河内、早いのか、これでいいのか」との実況をあざ笑うように、最後は力でスーパーショット(2着)を圧倒した。

 今年は調教師として管理馬のオーマイダーリンを送り込む。「秋華賞は内回り二千。強いだけでは難しい。こっちはディープ産駒。春から変わるからな」と不敵に笑った。

提供:デイリースポーツ

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