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【マイルCS南部杯回顧】高速決着でアルクトスがジーワン初制覇(斎藤修)

  • 2020年10月13日(火) 18時00分
 盛岡のダートコースはちょっと変わったところがあり、見た目にそれほど速くは見えなくても、時計を見るとびっくりするほど速かったということがたまにある。今回の南部杯がまさにそれ。勝ちタイムの1分32秒7は、2016年の南部杯コパノリッキーがマークしたタイムを0秒8短縮。2001年の武蔵野Sクロフネがマークした1分33秒3という、ダート1600mの日本レコードも更新した。

 そもそも今年の盛岡ダートコースはかなり時計が速く、マテラスカイが2番手からヒロシゲゴールドを差し切ったクラスターCも1200m=1分8秒5というダート1200mの日本レコードだった。

 南部杯当日は曇・良で始まったが、発表によると5レース前から雨が降り出し6レースから稍重。南部杯の発走前にはかなりの降り方になり、南部杯も記録では稍重だったが、直後の最終レースで重に変わったので、南部杯のときにはほとんど重になっていたものと思われる。湿った馬場が、そもそもタイムの出やすいコースをさらに速くした。

 ただタイムの絶対値は速かったものの、スピードが出やすい馬場だっただけで、レースの“流れ”としてはそれほど速かったわけではない。前・後半の800mのタイムは、45.5-47.2。差が1秒7だから、直線に坂があることを考えると、ほとんど平均ペースと言っていい。逃げたインティが直線で失速しただけで、中間800m地点を過ぎてすぐの3コーナーでの通過順で2〜4番手にいた3頭が順序を入れ替えて1〜3着を占めているのでまぎれもない前残りの決着だ。

 4コーナーで先頭に立ったモズアスコットに、アルクトスが並びかけて直線は2頭の一騎打ち。ゴール前、アルクトスがグイとクビだけ出たところがゴールとなった。

 これはアルクトスの勝負強さを褒めるしかない。中央の有力馬は多くが休み明けだった中で、エルムS(6着)を使っての状態アップもあったのだろう。鞍上の田辺騎手は、コパノリッキー南部杯連覇(そのひとつが従来のコースレコード)に、盛岡のJBCクラシックも制しているように、鞍上と盛岡コースとの相性の良さもあったかもしれない。

 残念ながら2015年に牧場での事故で急死してしまったが、アドマイヤオーラには産駒初のGI/JpnI勝利となった。

 モズアスコットは、出遅れたかしわ記念では6着に敗れていたが、やはりそれが実力ではなく、あらためてダートへの適性を示した。ただここまで勝ったのは東京、盛岡という広いコースの速いダートに限られる。たとえば時計のかかる小回り1400mの地方のダートになるとどうだろう。そもそもGIを勝っているがゆえ、GII/JpnII以下のダートグレードでは斤量を背負わされることになる。ひとまずダートのGI/JpnIであれば、1200mのJBCスプリント(大井)なのか、距離を伸ばしてチャンピオンズCなのか、それとも芝に戻るのか。

 昨年に続いて健闘の走りを見せたのは大井のモジアナフレイバーだ。4コーナーでは1、2着馬の直後にいて、そこから差を詰めることもできなかったが、離されもせず、2着のモズアスコットとは1馬身1/4差。ドバイ(中止)遠征後の帝王賞(13着)は回復途上だったが、その後完璧に立て直した。GI/JpnIはともかく、どこかでグレードレースを勝てる機会はあるだろう。

 4着サンライズノヴァ、5着ワンダーリーデルは、レースの上り3Fが35秒4のところ、それぞれ35秒0、34秒2という上りを使っているだけに、前残りのスピード決着で中団追走では展開が向かなかった。

 ゴールドドリームは中団を追走し、4コーナー手前ではモジアナフレイバーの直後にいたが、直線では伸びることなく6着。南部杯は今年で4年連続出走で、5、2、3、6着と、この馬の実績を考えれば盛岡コースとは相性がよくない。昨年のチャンピオンズCクリソベリルにクビ差2着があったが、その後は本来の力が発揮できていない。

 インティは直線失速して9着。無理せずハナに立って、前述のとおりタイムは速いがペースが速かったわけでなないので、燃え尽きてしまったか。

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