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【秋華賞】デアリングタクト杉山師「ゲートを五分に出てさえくれれば力は出せる」/共同会見

  • 2020年10月14日(水) 19時38分
デアリングタクトを管理する杉山晴紀調教師

――ここまで無敗で牝馬二冠達成です。
杉山 本当にレースを使うたびに驚かされてばかりで。この馬の強さにはただただ驚くばかり、といった感じでした。

――その非凡さはいつ頃から感じましたか?
杉山 エルフィンSのレース内容を見て、この馬はこれまで預かってきた馬の中で、やはりちょっとレベルが違うんじゃないかという風に感じました。

――具体的にはどこが違ったのでしょうか?
杉山 (エルフィンSは)新馬の時とは違って、途中結構ペースが流れまして、新馬の時と同じぐらい脚が使えたらいいなと思ったんですけど。それを上回る手応えで楽に最後にいい脚を使ってくれました。ちょっと“これは凄い馬だな"という感じでしたね。

 桜花賞は、ポジション取りはちょっと後ろだったんですけど、ジョッキーとも位置取りに関係なく、とにかく脚さえためれば終いはしっかり脚を使うという話はしていたので。位置取りはあんまり気にならなかったんですけど、さすがに4コーナーを回った時は前からかなり離れていましたので、届くかな?という感じで心配をしていました。

――それでも差し切りました。
杉山 その時も驚きがあったんですけど。最後まで走りきった姿にはある意味感動すら覚えました。

――オークスはレース前に課題がある、と話されていましたね。
杉山 初めての長距離輸送、初めての左回り、初めての距離、といろいろ課題が多かったレースだったんですけど。全てを乗り越えてくれて、レースの展開としても決して楽ではない中、最後は走り切ってくれたので本当に頭が下がるというか、凄いの一言でした。

――その後は北海道のノルマンディーファームで放牧となりました。
杉山 オーナーサイドとローズSを使って秋華賞に行くのか、それとも直行で行くのか、という話はもともとあったんですけれども。あくまでその時の馬の状態をよく見て、最終的に直行の方がよりパフォーマンスを発揮できると私が判断しました。

――夏はどのように過ごしましたか?
杉山 夏の間にもうひとつ成長を促すという意味で、北海道のノルマンディーファームさんの方で乗らないで心身ともにリフレッシュを流すっていう期間を設けました。その後、ノルマンディーファームの福島の分場でワンクッション置いて、栗東近郊の宇治田原のほうに8月上旬に戻ってきました。

 その後も予定通りだったんですけれど。僕が思ってる以上に馬がひと回り大きく成長してくれていたので、その成長に見合ったトレーニングをかけるためには、叩きを使うよりもじっくり乗り込んで秋華賞に直接向かった方がより良いのではないか、と思いました。

――帰厩してからの様子は?
杉山 初日は久々の分、少しテンションが高かったんですけれども、2日目ぐらいから馬が自然と落ち着いてきました。相変わらずカイバも良く食べてくれるので、当初から思い描いていた調整過程を馬が淡々とここまでをこなしてきてくれています。今のところ、心配な点はありません。

――この中間の調整は?
杉山 これも元々、松山ジョッキーで追い切りを3本ないし4本消化する、というのも予定どおりなんですけれども。1週前までにしっかり負荷をかけるだけかける、ということもできましたし。今日も当該週ですので、坂路でサラッとっていうのも予定通りです。

 ひと回り馬が大きくなった分、体重的にも今でも20キロぐらい増えてます。気性的にはスイッチが入りやすいところは相変わらずあるんですけれども、それでも春先に比べればだいぶ大人になったなっていう風に感じます。

――今回の舞台が京都の内回り2000mです。
杉山 内回りの2000mはもちろん初めてなんですけれども。その点は松山ジョッキーですので特に心配していません。

――松山騎手に全幅の信頼を置いているんですね。
杉山 あの馬のことを一番よく知っているジョッキーですから。あとはもう厩舎としては、動ける状態をしっかり作ってジョッキーにバトンタッチするだけだと思ってます。

――松山ジョッキーは枠はあまり関係ないと話していました。
杉山 そうですね。ただ、オークスは内目の枠を引いて少しタイトな競馬になったので、真ん中ぐらいがいいなっていう風には思ってますけれども。

――週末は雨予報ですが、馬場状態で気になるところは?
杉山 桜花賞のあの馬場であの脚ですので、雨が降っても降らなくても、という風に思っています。

――開業5年目でこういった馬を預かることになったわけですけれども、緊張というか、プレッシャーというのはいかがですか?
杉山 決められたレースにいい状態で出す、というのを毎日考えながらやっているだけですので。今のところ私自身はそこまで緊張を感じていないんですけれども。でも、この緊張感というのはなかなかできることではないので、いい経験をさせてもらってると思っています。

――生産者サイドからの期待の声は?
杉山 もうここまで来たらとにかく無事に、という思いはものすごくされてきてますので、もちろん勝つのも大事ですけど、とにかく無事に競馬に向かいたいなと思っています。

――レースのポイントは?
杉山 ゲートの一歩目というか、スタート次第でジョッキーが組み立てると思いますので、まずはゲートを五分に出てさえくれれば力は出せるのかなと思います。当然、力を出せれば結果がついてくるのではないか、と思います。

――無敗の牝馬三冠達成となると史上初となります。現時点でデアリングタクトは杉山調教師にとってどんな馬ですか?
杉山 開業5年目でこういう素晴らしい馬に巡り会えたことは本当に感謝してもしきれないですし、いろいろ生産の方もそうですし、オーナーさんなど、本当に皆さんに任せて頂いてる結果このように勝ててこれていますので、感謝してもしきれません。

――最後に抱負を。
杉山 春の桜花賞オークスと本当に使うごとに驚きの競馬をしてきたデアリングタクトですけれども。ひと夏越して馬体面でさらに大きな成長がありますし、その驚きを上回るような競馬ができるように、ここからレースまでしっかりと調整していきますので、皆さん応援よろしくお願いします。

(取材・文:花岡貴子)

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