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【秋華賞】デアリングタクト3冠を全力で阻みにいく17頭のサプライズに期待/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年10月16日(金) 18時35分
 今週の秋華賞(日曜=18日、京都芝内2000メートル)、来週の菊花賞で牝馬、牡馬ともに無敗の3冠馬誕生なるか。歴史的瞬間を前にして沸き立つ秋のGIシリーズだが、絶対王者たちの動向を注視しているのはラスト1冠にかけるライバル陣営も同様。その強さを肌で感じ取ることで切磋琢磨されてこそ、GIの価値は一層高まるというものだ。

「あんなに強い馬がいるなんて聞いてないですよ。あの馬が桜花賞を勝つんじゃないですか?」

 デアリングタクトが次元の違う末脚で差し切ったエルフィンS。7着に敗れたウインマイティーの調教をつける五十嵐助手はまさに脱帽といった様子を見せていた。

 ウインマイティーはその後、デイジー賞→忘れな草賞を連勝。オークスで再びデアリングタクトと相まみえ、結果3着も女王を相手に一歩も引くことなく、見せ場十分の競馬で観衆を沸かせた。

「今思えば、こちらもまだ本物とは言えない段階で強い相手と戦えて良かったんですよ。そこから距離を延ばす方向に切り替えて、馬もどんどん良くなりましたからね」と五十嵐助手は当時を振り返る。

 最後の1冠を前にして、最終追い切りを終えた直後には「正直、これがGIを勝てるレベルなのかはよく分かりません。でもやるだけのことはやったという思いはあります」とどこか満足げな表情で話してくれたのも、デアリングタクトという大きな目標があればこそ。そこに近づけた手応えを感じ取れたからなのかもしれない。

 女王のすごみを間近で感じた馬といえば、リアアメリアも同様。新馬に続きアルテミスSを連勝した段階では世代トップの評価を受けた馬だったが…。阪神JF(6着)、桜花賞(10着)では期待に応える走りを見せられず、立て直しを図ったオークスで4着と光明のさす走りは見せたものの、道中でマークしていた女王には一瞬にして抜き去られ、力差をまざまざと見せつけられた。

 秋へ向けて陣営がまず取り組んだのは、リアアメリア自身の能力を競馬でフルに発揮するにはどうすべきかを改めて見直すこと。至ってシンプルな処方ではあるが、ライバルの強さを受け入れたからこそ、たどり着いた策でもある。

「ゲートでモタれる面を見せていたので、まずはそれを改善するように調整。たまたまかもしれませんが、ローズSではいいタイミングでスタートを切れて…。2番手につけられた段階で大丈夫かなと思えました」(片山助手)

 新馬からの連勝はまだ体が完成されていない時期ということもあり、粗削りな競馬内容。そこでレベルアップを図ったのだが、競馬では前進気勢が失われてしまい…。裏を返せば、リアアメリアの頭の良さが逆に遠回りする要因になったのかもしれない。しかし、同世代に常識的な走りでは太刀打ちできない強力なライバルが出現したことで、すべての能力を解き放つことを求めた結果がローズSでの強さだったと思われる。

 片山助手に対デアリングタクトについて振っても「2度もぶん投げられてる相手に何も言えないでしょう」と一蹴されてしまったが、「やりたかった競馬のできた前走でも、直線で手前を替える時に体が浮くような走りになっていた分、まだ上積みは見込めていい。この中間は余計なことを馬に課すのではなく、穏やかに過ごせている中にも、スイッチが入りやすい雰囲気を保っている」との締めの言葉に自信の一端は読み取れた。

 春のクラシックで敗れた馬たちと女王とではすでに勝負付けが済んだなんて誰が言ったの? 歴史的名馬となり得るすごい馬がいるからこそ、それを目標に鍛錬を積んだ同世代の馬たちのレベルが向上するのも自然の成り行き。歴史的瞬間を目の当たりにしたいと望みながらも、全力で3冠を阻みにくるであろうライバル17頭のサプライズに期待をかけてしまう自分もまたいたりする。

(栗東のバーン野郎・石川吉行)

東京スポーツ

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