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【菊花賞】コントレイル担当助手も警戒する矢作厩舎の“もう一頭”サトノインプレッサ/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2020年10月21日(水) 19時25分
 デビューから3連勝。ダービーでは4着善戦。無敗の3冠制覇の偉業がかかるコントレイルには及ばないまでも、“僚馬”サトノインプレッサの戦績も十分に胸を張れるものでしょう。

「デビュー時にパドック解説の人に“歩様が悪い”って酷評されたこともありますからねえ」と振り返るのは担当の廣岡助手。春当時まではソエに悩まされ続け、しかも負荷を強め過ぎるとテンションが上がってしまう気性。どんどん強くなっていくライバルたちと戦う上で、その調整には大変な苦心があったに違いない。それでいて冒頭の戦績を残すのだから…。もはや資質の高さは疑いようがありません。

「勝った後に解説していた人が厩舎まで飛んできて、こう言ってくれたんですよ。“あんな歩様であれだけ走るなんて、すごい馬になるよ”って(苦笑)」

 いやはや、褒められてるんだか、けなされてるんだか…。実はこちらとしても覚えがある。レース前の返し馬をチェックするたびに、本当にこれで大丈夫なのかと、不安な気持ちになっていたりもしたもんです。そんなサトノインプレッサが夏を越して、秋初戦を迎えるころには…。

「ソエがすっかり治まった。歩様が良くなったことで、体全体も楽になったんでしょう。春に比べて落ち着いているようにも感じます」という廣岡助手の笑顔に接してしまえば、もう買わないわけにはいかない。もしかしてサリオスは矢作厩舎の馬に弱いのかもしれないし…。そんな妄想まで抱いて、ガッツリいっちゃいましたよ、毎日王冠は。その結果が10着惨敗って…。

「何が敗因だとハッキリ分からないところもあるんですが、いろいろと見込みとは違ったところはありました」

 こちら以上に落胆しているであろうにもかかわらず、廣岡助手は丁寧に振り返ってくれます。

「まずは出遅れ。トレセンでのゲート練習では全然大丈夫なんですが、レースだと分かるとテンションが上がって、レースが終わった後でもずっとそのままというタイプですからね。それに毎日王冠は今まで以上にパドックから発汗がすごくて、いつも以上に消耗が激しかった。それで直線を向いても反応できなかったんだと思います」

 ソエが治まり体が楽になった分、イレ込みもハンパなかったのかな。やっぱり競馬って難しい。

「今思えば体質が強くなって乗りやすくなった分、ウッドで長めから追い切っていたとはいえ、休み明けとしては負荷が足りなかったのかもしれません。それを落ち着きと捉えて、今までイレ込みを抑えるようにしていたメンコやリップチェーンなどの装備をノーマルに戻したことも結果的には良くなかったようです」

 複合的な敗因があったようなのです。

「走り切っていないので疲れの残る心配はなさそうですし、乗り始めの金曜(16日)にはゲート練習も行いました。今回はコンプレッションフード(顔面を圧迫するメンコ)なども用意して、ガチガチにイレ込み対策を講じて臨むつもり。効果のほどは分かりませんが、何かやってみないことには…。もともと中1週で菊花賞に出走する可能性もあると思っていましたから」

 実は菊花賞(日曜=25日、京都芝外3000メートル)出走はまだ確定してはいないのですが、廣岡助手が準備を怠ることはありません。そうなんです。トレセンに入厩した馬はいついかなる場面においても、どのレースにも出走できるように準備を進める。常に先を見据えてチャレンジしていくのが矢作厩舎の流儀なんですよね。それこそがモズアスコットが滑り込み出走の連闘で一昨年の安田記念を制したような「厩舎力」にもつながっているんですよ。

「石川さん、コントレイルの取材に来ているように見せかけて、本当はインプレッサを狙ってるんでしょ?」と金羅助手。ドキッ!バレてたのね。

「僕も出走してくれば、あの馬が一番怖いと思ってるんですよ。ダービーの時も中2週できっちりと立て直してきたでしょ。馬場の荒れた内めをスイスイ走ったりでもしたら…」

 いやいや、コントレイルの3冠達成は心から応援してますよ。でも矢作厩舎の試みる“もうひとつの挑戦”にも注目しないわけにはいきませんよね。

(栗東のバーン野郎・石川吉行)

東京スポーツ

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