2020年の2歳新馬戦の幕開けは6月6日。そう、GIII
アルテミスS(土曜=31日、東京芝1600メートル)に出走する
ウインアグライアは、東京競馬場で行われた今年最初の新馬戦(芝1600メートル)を制した記念すべき馬だ。
当時の評価は10頭立ての8番人気。単勝万馬券を演出する大駆けとなったわけだが、そこで圧倒的1番人気に支持されていたのは、名牝
ブエナビスタの子で世代屈指の素質馬と評価されていた
ブエナベントゥーラ。これにマークされる形になりながらも、最後まで前に出させなかった。
「デビュー時は調教でまったく動けていなかったので半信半疑というか、正直、自信はなかったんです。想定を超えていました」と和田雄調教師は当時を振り返る。
確信に変わったのは2戦目の
コスモス賞(札幌芝1800メートル)。1番人気を未勝利馬
カランドゥーラ(2着)に譲っての2番人気にとどまりながらも、きっちりと無傷の連勝を決めた。
「あの競馬っぷりを見て、デビュー戦がフロックじゃなかったことを確信しました。この馬は母系がすごい。血統の良さからくる爆発力は計り知れないものがあります」
母ウインアルテミスは
JRA未勝利。取材時には「母系」と聞いてもピンとこなかったが、祖母ウォーカーズギャルの兄姉には種牡馬として名高い
ヘクタープロテクター、
シャンハイほか、英G13勝のボスラシャムもいるバリバリの良血。
ウインアグライアが母の馬名にもある、この
アルテミスSに無傷で駒を進めてこられたのは、重厚な血統背景の後押しがあってこそなのだろう。
ちなみに冒頭の
ブエナベントゥーラは
アルテミスS当日の同舞台未勝利戦で2戦目を迎える。中間の攻め内容も抜群で、決して評価は下がっていないこの素質馬の走りはもちろん、両レースの時計比較など、先々に向けての注目ポイントがいろいろとありそう。新馬で相まみえた2頭がお互いの価値を高め合うようなレースを見せてほしいものだ。
(立川敬太)
東京スポーツ