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【勝負の分かれ目 天皇賞・秋】GI8勝の壁を破ったアーモンドアイ。ポイントはスタート直後と直線入口

  • 2020年11月01日(日) 20時43分
 歴史的名牝の快挙により、今週もまた日本の競馬史が書き換えられた。

 第162回天皇賞・秋で、圧倒的1番人気に支持されたアーモンドアイが優勝。これまで名馬たちの前に立ちはだかってきた芝GI8勝の壁を、ついに突き破った。

 激しい戦いだった。ゴール前で2着のフィエールマンと3着のクロノジェネシスに詰め寄られ、半馬身差の辛勝。この結果につながるポイントは、スタート直後と直線入口にあった。

 立ち遅れてリズムに乗れない危険が指摘されていたアーモンドアイが速いスタートを切った。

 フィエールマンクロノジェネシスのスタートも悪くなかったが、外から切れ込んできたキセキと内のウインブライトに挟まれ、下げざるを得なくなった。2、3着となった2頭は、ここで位置取りが悪くなったことが最後まで響いた。

 それに対してアーモンドアイはスムーズに最初のコーナーに入り、これら2頭より前の4番手の外目につけた。

 そして、直線入口。アーモンドアイの前がクリアになり、そこから400m以上、前に馬がいない状態で走ることになった。スムーズすぎたと言おうか。できれば前に馬を置いて溜めて、弾ける形にしたかったところだろう。

 ところが、アーモンドアイのすぐ前にいたダイワキャグニーは、早めに下がってくる可能性があった。そのため、アーモンドアイクリストフ・ルメールは、早めに抜け出すレースをせざるを得なくなった。内ではダノンプレミアムがいい手応えで走っていたが、その後ろに持って行くと、馬場の荒れたところを走ることになってしまう。

 ルメールとしては、ここを通るしかないというところを走らせた。

 溜める局面がなかったぶん、さすがのアーモンドアイも最後は苦しくなった。そこにフィエールマンクロノジェネシスが付け入る隙ができたわけだが、それぞれ32秒7、32秒8という凄まじい末脚を繰り出しても及ばなかった。

 詰め寄られても抜かせなかったアーモンドアイが、現役最強馬の底力を見せつけた。

(文:島田明宏)

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