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無敗三冠馬同士が世紀の激突!ジャパンCがアツい

デイリースポーツ
  • 2020年11月10日(火) 21時04分
 今週から秋のG1シリーズが再開され、12月27日の有馬記念まで7週連続でビッグレースが繰り広げられる。コロナ禍に翻弄(ほんろう)された一年となったが、関係者の努力もあり、ここまで一日も開催が中止されることなく、しかも売り上げは軒並み前年比アップで乗り切ってきた。

 しかも序盤の秋3戦は、秋華賞デアリングタクト菊花賞コントレイルと同一年に牡・牝の無敗三冠馬が誕生。そして天皇賞・秋では女王アーモンドアイが史上最多の芝G1・8勝目を達成。歴史的な快挙が続いた。この秋から競馬場には、制限付きの中で若干名のファンが戻ってきた。いつもなら地響きの如く沸き上がる万雷の声援&拍手に包まれながら、何十万のファンが歴史的なシーンに酔いしれたことだろう。それができなかったことが、残念でならない。

 天皇賞当日は東京競馬場で取材だったが、アーモンドアイが先頭でゴールした瞬間、スタンドのファン(当日の入場は1310人)から暖かな拍手が巻き起こった。この春はオークスでもダービーでも、アーモンドアイが勝ったヴィクトリアマイルでも、最もヒートアップする直線は馬の走る蹄音とジョッキーが使うステッキの音が聞こえるのみ。ほぼ静寂の中で、新たなチャンピオンホース誕生のシーンを見てきた。レース後の口取り&記念撮影、表彰式もない。さらには勝者の証であるレイを掛けることもない。検量に戻ってくると、そのまま出張厩舎に戻って行く後ろ姿を見ながら、なかなか経験できないこととはいえ、寂しさを覚えた。

 先週から東京競馬場の入場人員は4000余人まで増員された。とりあえずジャパンC(11月29日)までとなるが、そのジャパンCが大変なことになってきた。早々に出走を表明していた牝馬三冠デアリングタクトに続いて、先週5日に牡馬三冠コントレイルが正式に参戦を発表した。

 過去ジャパンCでの三冠馬対決は昭和59年シンボリルドルフ(3着)VSミスターシービー(10着)、平成24年ジェンティルドンナ(牝、1着)VSオルフェーヴル(2着、鼻差)の2度あるが、同世代の、しかも無敗馬同士による直接対決は初めてのこと。中央競馬全体でも例がなく、令和の時代となって初めて、世紀の一戦が実現することになった。これには早くも、世界の競馬メディアも関心を寄せているという。

 7戦7勝コントレイルは「初めて全力で走ったんじゃないかな」と矢作師が振り返るほど、厳しかった菊花賞での疲れを考慮し、放牧先の大山ヒルズ(鳥取県)で入念に馬体をチェック。「馬体は完全に回復している。デアリングタクトが出てくればファンの盛り上がり、競馬としての盛り上がりを考えても、オーナーと相談して決断した」と、ファンを最も大切にするトレーナーらしい決断となった。それを受けて、5戦5勝デアリングタクトの杉山晴師も「ファンも楽しみにしているでしょうし、ボク自身も楽しみ。それに恥じないコンディションで臨みたい」とコメントした。

 そしてもう1頭。アーモンドアイの参戦があるのかないのか。こちらも一昨年の牝馬三冠で、その年のジャパンCでは2分20秒6という超レコードVを決めている。出走してくれば、文字通り“年度代表馬”を賭けての空前絶後の戦いになる。所属クラブの規定で、現役を続けられるのは6歳3月まで。天皇賞のレース後、関係者は「(引退まで)あと一戦」と明言していた。ジャパンCか、暮れの香港か、さらには3月のドバイか-。今週中にも注目の結論が出される予定だ。

 デアリングタクトは既に、4日に放牧先から栗東トレセンに戻りトレーニングを再開している。コントレイルも12日に帰厩する予定だ。早くも、まさしく“雌雄”を決することになったが、まだもったいない気持ちもありながら、いつかはぶつからなければならないことだと納得もする。近年は騎乗するジョッキーの兼ね合いや、オーナーサイドの戦略もあり、無条件で強い馬同士の戦うシーンが減っている。それだけに今回のジャパンCは、いまからワクワク感を抑え切れない。

 ジャパンCの入場者レコードは、ランドが勝った平成7年の18万7524人。今年は時節柄、大多数のファンがテレビ観戦となってしまうのは残念でならないが、そんなワクワクさせられるレースを見たい競馬ファンの夢であることに変わりはない。まずは無事に調整を重ね、日本中が、さらには世界中が注目しているゲートインを迎えてもらいたい。(デイリースポーツ・村上英明)

提供:デイリースポーツ

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