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充実設備の新外厩「チャンピオンヒルズ」が今後の勢力図を塗りかえるか

  • 2020年11月24日(火) 16時44分
 トレセン外で馬のトレーニングやリフレッシュを行う外厩施設。近年、日本競馬界で大きな存在感を示しているが、今年10月19日、滋賀県大津市に新たな育成牧場が開場した。その名もチャンピオンヒルズ。本州最大級の広さを誇り、場所も栗東トレセンから琵琶湖大橋を経由し4〜50分と好立地だ。

 名前でピンと来た方がいるかもしれないが、運営母体は北海道新ひだか町で生産、千歳市で中期育成を行っている株式会社チャンピオンズファーム。チャンピオンヒルズ開場以前は、兵庫県南あわじ市でチャンピオンズファーム淡路という育成牧場を運営していた。

 場長はグリーンウッドトレーニングでマネージャー、吉澤ステーブル内のUPHILL(アップヒル)代表取締役を歴任した幣旗(へいはた)政則氏。「チャンピオンズファーム」と「アップヒル」を合わせて「チャンピオンヒルズ」というネーミングだ。そして、株式会社ニッシンホールディングス名義で競走馬を所有する山住勲氏がオーナーを務めている。

 まず目を引くのが広大な敷地。総面積は71ヘクタールで、東京ドーム約15個分。現在、厩舎は12棟で360馬房を誇る。関西の外厩で言えばノーザンファームしがらきが約30ヘクタール(13厩舎370馬房)、グリーンウッドトレーニング(8厩舎200馬房)が約28ヘクタールということを考えればその規模の大きさがよく分かる。

 一番の売りは、日本で類を見ないスタートからゴールまでが一直線の坂路コース(フェルトダート、ウッドチップ各1000メートル、最大傾斜3・5%、高低差約40メートル)だ。トレセンや他の牧場では敷地が限られているため、道中にカーブを設置し、さらに距離を600メートルや800メートルとしているところがほとんど。一方で、チャンピオンヒルズでは広大な土地を生かして真っすぐな坂路を設営している。幣旗場長は「まず場所探しの時に1000メートル、真っすぐの坂路を取れるところを探した」とこだわりを話せば、山住オーナーも「途中で曲がっていないので(脚を)滑らせることがない」と安全性を強調した。

 また、ケガ予防にはカーブのない坂路だけではなく、「9〜10頭くらいで併せ馬ができるくらい」とオーナーが話す広い幅員、そして先述のフェルトダートも一役買っているという。

 フェルトダート…あまり聞き慣れない単語だが、その名の通りダートにフェルトを混ぜたもので、クッション性が高い。実際にそのフェルトダートの上を歩かせていただくと、これが何とも気持ちがいい。踏めばふかふかで、自宅の廊下に敷きたいくらいの踏み心地。いかにも脚への負担は少なそうで、なおかつ柔らかい分、15-15でも十分な負荷をかけられるというわけだ。

 坂路コースだけではなくトラックコースにも導入されており、「フェルトダートは馬術でよく使われていますが、日本の競走馬育成施設では初めて。グリップ力が高まりますし、硬さの調整もしやすいんです」とオーナー。さらに水はけの良さも強みのひとつで、消防法の関係で坂路に屋根を架けられない牧場の大きな味方となっている様子だ。

 馬が普段過ごす馬房にも工夫が凝らされている。山住オーナーは「厩舎と厩舎の間を広くしています。断熱もアルミプチシートを使っていて温度をグッと下げられる。夏場でも涼しくて、ミスト、扇風機もいらないくらい。馬房の柵も輸入品ではなく、動物園のおりを作っている会社にお願いして作ってもらいました。何回もやり直したかな」と自慢の設備に胸を張る。厩舎を見学させていただくと、確かにトレセンでは見たことのない馬房がずらり。どこかしら、たたずむ馬たちも優しい顔をしていた気がする。

 インディバやショックウェーブなどの医療機器も充実しており、獣医師免許を所持するスタッフも多い。場内の見晴らしも良く、事故やケガを未然に防ぐ態勢は万全。事実、オープンからの1カ月で調教による故障馬は出ていない。

 スタッフもアップヒル、チャンピオンズファーム淡路からごっそり移動してきたということもあり、横の連携も取りやすい。清潔感あふれる独身寮や食堂も完備されており、馬だけではなく、働きやすい環境が整備されているのも売りのひとつ。取材していて馬も人も「ストレスをかけさせない」ということに重きを置いていると感じさせられた。

 開場して間もないため、重賞など大舞台で注目を浴びるのはもちろんまだ先。幣旗場長も「(早く結果を出そうと)焦ってケガを出さないように」と気を引き締める。ただ、平場では徐々に頭角を現し、11月14日の福島4Rで13番人気(単勝109・1倍)のメイショウイジゲンが2着、22日の阪神1Rで9番人気(単勝41・8倍)のキンバが3着。23日の東京5R新馬戦を制した4番人気(単勝12・1倍)のタケルジャックもチャンピオンヒルズ利用馬。人気はなくとも上位をにぎわせているので、穴党は要チェックだ。

「他と比べれば預託料は高めだし、乗り役など今までのノウハウがある。でも、うちも施設だけじゃ負けていないですよ。施設で選ぶとなるとここ。胸を張れます」とオーナーは現状のハード面に絶対的自信を持つが、「障害馬の調整とか、口向きが悪い馬の矯正なんかできるようにもしたい。まだまだ土地があるからね。そして、ソフト面も充実させる」とまだまだ施設の拡充をもくろんでいる。チャンピオンヒルズが今後、関西の外厩勢力図を大きく塗りかえるかもしれない。(デイリースポーツ・山本裕貴)

提供:デイリースポーツ

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