今年の
ジャパンCに3冠馬3頭が出てきてくれたことは大変楽しみであり、競馬ファンとしてホースマンたちに改めて敬意を払いたい。しかし、先週までの東京芝コースで馬場状態に恵まれた馬の血統。人気に応えられず失速した馬の血統を見ると、必ずしも下馬評の3強が1-3着を独占。いや、1、2着を独占できるとも限らない舞台設定である。
今シーズンの東京芝コースは、米国指向のスピード血統とは相反するタフな欧州血統を持つ血統馬が走っている。
アーモンドアイがレコードを出した2年前の馬場よりも、1秒以上は勝ち時計が遅くなることが想定される。1秒といえば、5馬身以上の差。競技の性質が2年前とは大きく変わる。
コントレイルの父は
ディープインパクト。過去10年の
日本ダービーで6頭の勝ち馬を出した。興味深いのは、ディープ産駒でダービーを勝った6頭の母系には欧州の名血
トニービン、
サドラーズウェルズを持つ馬がいないこと。春の府中は、スピードを発揮が要求される高速馬場。3歳限定の2400m戦で、「直線のスピードの速さ」が強く求められることが影響している。
スピードと相反するスタミナ、馬力を強化する欧州の重い血は薄いほうが有利なのだ。
コントレイルも母系に
ファピアノ、インリアリティと米国由来のスピード勝負に強い血を持つ。相反する欧州の血統は極めて薄い。
ただしスピード強化血統は、欧州のスタミナ要素が問われる馬場、レースは不利。じつは、
コントレイルの前走の
菊花賞。ボクの本命は
アリストテレス(クビ差2着)だった。同馬の母系にはロベルト、
サドラーズウェルズ。今年の
菊花賞は、馬場状態がタフで欧州的馬力を持つ
アリストテレスに極めて有利。
欧州要素が薄い
コントレイルには不利な馬場だったため、
アリストテレスが勝てる可能性も十分にあると予想した。さらに
コントレイルは、中3週のローテーションも厳しい。スピードタイプのディープ産駒が中長距離を走るには、レース間隔を空けたほうがパフォーマンスを発揮できる馬が多いためだ。
しかし、
コントレイルは厳しい状況を跳ね除けて優勝。今回の
ジャパンCも
コントレイルには不利な欧州要素が強く問われるとはいえ、
菊花賞ほど欧州の要素も問われない。さらに、ローテーションも余裕が出る。差しに回れば、今の馬場で発揮できる最高レベルのスピードは出せるだろう。
菊花賞よりもパフォーマンスを上げる可能性は高い。
アーモンドアイの父は
ロードカナロア。
高松宮記念、
スプリンターズSに加え、世界のス
プリント戦では最高レベルの
香港スプリントも連覇した。世界レベルのスピード種牡馬。さらに、東京芝のマイルGI
安田記念も高速上がりで優勝。母
父サンデーサイレンスは、日本の主流コース東京芝のGI勝ち馬を多数出している。母系もアメリカ牝系。スピード要素にあふれた血統だ。
2年前の
ジャパンCはレコードが出る高速馬場。さらに、スピードを持続しやすい53キロの斤量。このことは、2年前のレース前予想にも書き○◎で馬連を的中した。しかし、今年の東京芝はタフな馬場。斤量も2キロ増。2年前ほど有利な材料は揃っていない。(2年前は凄すぎたので、そこまで走らなくても通用することも否定はしないが)
デアリングタクトの父は
エピファネイア。重い不良馬場で行われた
菊花賞の勝ち馬。タフな馬場で行われた
ジャパンCを優勝。母系に
サドラーズウェルズを持つ。
前走の
秋華賞は
菊花賞同様、京都の芝。欧州の名血を持つ馬が走りやすい馬場。欧州の種牡馬
サドラーズウェルズ、および同配合の弟の血を持つ馬が上位を独占した。
そして、今回も欧州種牡馬が走りやすい馬場。種牡馬の適性は
コントレイル、
アーモンドアイよりも上。ただし、前走も馬場も枠も不利ではなかった。前走からパフォーマンスを上げないと
ジャパンCでは通用しない可能性は高い。
底は見せていないので、前走よりもパフォーマンスは上昇してくるだろうが、その上昇幅に託すほどの期待値が見込めるか(オッズが割に合うか?)が焦点となる。
(文=亀谷敬正)
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