史上初の3頭の三冠馬による競演となった第40回
ジャパンカップを制したのは、現役最強馬
アーモンドアイだった。
アーモンドアイは、内の2番枠から速いスタートを切った。出たなりで先行したが、鞍上の
クリストフ・ルメールは、手綱を引き気味にして他馬を先に行かせる。
外から上がってきた
キセキが前に出てから内に切れ込み、
アーモンドアイの前に入った。ルメールは、そこから少しでも馬場のいい外に出すかと思いきや、そのまま
アーモンドアイに内を走らせた。前に馬のいない状態になって掛かるリスクを冒すより、馬場が悪くても前に壁のあるルートを迷わず選択したのだ。
アーモンドアイは4、5番手の内につけて1、2コーナーを回って行く。
向正面では、
アーモンドアイの1馬身半から2馬身ほど後ろに
松山弘平の
デアリングタクト、さらに2馬身ほど後ろに
福永祐一の
コントレイルがつけていた。これら2頭は、内から3頭ぶんほどの、さほど馬場の荒れていないところを進んでいる。
大逃げを打った
キセキが先頭のまま3、4コーナーを回り、直線へ。
直線入口で、ルメールは初めて
アーモンドアイを外に持ち出した。
ラスト500m地点で
グローリーヴェイズの外に出ても、まだルメールの手は動かない。ラスト400mを切ったところでルメールが軽く手綱をしごくと、そこから
アーモンドアイは、何度か手前を替えながら鋭く伸びて行く。
馬群の外に持ち出された
デアリングタクトと
コントレイルは、
アーモンドアイの3馬身ほど後ろのままだ。
ラスト200m付近でルメールが左ステッキを入れた。それに応えた
アーモンドアイがラスト100m手前で先頭に躍り出た。後ろから
デアリングタクトと
コントレイルが迫るが、その差はなかなか縮まらない。
アーモンドアイが
コントレイルの追い上げを1馬身1/4差で退け、先頭でゴールを駆け抜けた。
スタートから4コーナーの出口まで、ずっと馬場の荒れた内を走りながらこのパフォーマンス。迷わずこの戦術を取ったルメールも見事だったし、何より、馬が強かった。
アーモンドアイをマークして進んだ
デアリングタクトの松山も、前の二強を射程に入れながらレースを進めた
コントレイルの福永も完璧に乗った。
アーモンドアイは、自身の記録を更新する芝GI9勝目。現役最強馬が、最強のままラストランを終えた。
(文:島田明宏)