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【勝負の分かれ目 ジャパンC】ルメール騎手の好騎乗でアーモンドアイが有終の美

  • 2020年11月29日(日) 18時10分
 史上初の3頭の三冠馬による競演となった第40回ジャパンカップを制したのは、現役最強馬アーモンドアイだった。

 アーモンドアイは、内の2番枠から速いスタートを切った。出たなりで先行したが、鞍上のクリストフ・ルメールは、手綱を引き気味にして他馬を先に行かせる。

 外から上がってきたキセキが前に出てから内に切れ込み、アーモンドアイの前に入った。ルメールは、そこから少しでも馬場のいい外に出すかと思いきや、そのままアーモンドアイに内を走らせた。前に馬のいない状態になって掛かるリスクを冒すより、馬場が悪くても前に壁のあるルートを迷わず選択したのだ。

 アーモンドアイは4、5番手の内につけて1、2コーナーを回って行く。

 向正面では、アーモンドアイの1馬身半から2馬身ほど後ろに松山弘平デアリングタクト、さらに2馬身ほど後ろに福永祐一コントレイルがつけていた。これら2頭は、内から3頭ぶんほどの、さほど馬場の荒れていないところを進んでいる。

 大逃げを打ったキセキが先頭のまま3、4コーナーを回り、直線へ。

 直線入口で、ルメールは初めてアーモンドアイを外に持ち出した。

 ラスト500m地点でグローリーヴェイズの外に出ても、まだルメールの手は動かない。ラスト400mを切ったところでルメールが軽く手綱をしごくと、そこからアーモンドアイは、何度か手前を替えながら鋭く伸びて行く。

 馬群の外に持ち出されたデアリングタクトコントレイルは、アーモンドアイの3馬身ほど後ろのままだ。

 ラスト200m付近でルメールが左ステッキを入れた。それに応えたアーモンドアイがラスト100m手前で先頭に躍り出た。後ろからデアリングタクトコントレイルが迫るが、その差はなかなか縮まらない。

 アーモンドアイコントレイルの追い上げを1馬身1/4差で退け、先頭でゴールを駆け抜けた。

 スタートから4コーナーの出口まで、ずっと馬場の荒れた内を走りながらこのパフォーマンス。迷わずこの戦術を取ったルメールも見事だったし、何より、馬が強かった。

 アーモンドアイをマークして進んだデアリングタクトの松山も、前の二強を射程に入れながらレースを進めたコントレイルの福永も完璧に乗った。

 アーモンドアイは、自身の記録を更新する芝GI9勝目。現役最強馬が、最強のままラストランを終えた。

(文:島田明宏)

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