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【勝負の分かれ目 阪神JF】吉田騎手の好リードで、白毛ソダシが名勝負の頂点に

  • 2020年12月13日(日) 17時15分
 今週もまた競馬史が書き換えられた。吉田隼人が騎乗する1番人気のソダシが第72回阪神ジュベナイルフィリーズを制覇。史上初の白毛馬によるGI制覇をなし遂げた。

 ゲートが開いた。大外18番枠から出た武豊メイケイエールが最後方になった。1400mでも掛かるこの馬を武がどう乗って折り合いをつけるかが注目されていたが、ゆっくりと出して、他馬と並走しないようにする、というのが、武の出した答えだった。31年前の桜花賞で、武は同じ大外18番枠を引いたシャダイカグラを今回同様ゆっくりとスタートさせ、他馬を行かせて内に入った。ゲート直後にコーナーがあった当時の阪神芝1600mで「意図的な出遅れ」により、勝利をもぎ取ったのだ。

 一方、ソダシは好スタートを切り、好位4、5番手の馬群のなかで脚を溜めた。

「今日の前半の競馬を見ていて、このくらいの位置で前に壁をつくりたいと思っていました」と言う吉田が狙っていたとおりの形になった。

 ソダシは抜群の手応えのまま3、4コーナーを回り、直線へ。

 一度は、前のエイシンヒテンの外に行こうとしたが、内に切り替えてスパートをかける。

「最後は馬場が悪かったせいか、思ったより弾けてくれませんでした」

 吉田がそう話したように、なかなかエンジンが全開にはならなかった。

 そのとき、外からメイケイエールが凄まじい脚で伸びてきた。内のソダシらをまとめて呑み込みそうな勢いだ。

 31年前の伝説がここで蘇るのか――と思われたが、ラスト200m付近から、ソダシが驚異的な二の脚で盛り返す。

 さらにソダシの内からサトノレイナスが鋭く伸びてきた。

 サトノレイナスが一気に突き抜けるかに見え、実際、ソダシの前に出たのだが、そこからソダシは差し返し、最後の1完歩でハナ差だけ前に出てゴールを駆け抜けた。

「馬に助けられました。感謝です。人馬の信頼関係を築いていきたいです」

 そう振り返った吉田は、直線で少しでも馬場のいい外に出しながら追い、名勝負で頂点に立った。華やかな白毛伝説は、これからもつづく。

(文:島田明宏)

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