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【有馬記念予想】 3人の競馬記者が推す“特注馬”! 一筋縄ではいかない混戦グランプリに波乱を巻き起こす立役者は?/JRAレース展望

  • 2020年12月26日(土) 20時33分
 今年の有馬記念ジャパンCで上位を占めた3冠馬3頭は不在だが、クロノジェネシスフィエールマンラッキーライラックなど、高いレベルでの混戦が必至。百花繚乱のグランプリを制するのはどの馬なのか? 福島民報・高橋利明、東京スポーツ・山河浩、スポーツ報知・坂本達洋という3人の記者に、中山コースの適性を踏まえたそれぞれの推し馬についてうかがった。

 前回は今年一年を総括しつつ、有馬記念のレベルについて各記者に見解を述べてもらったが、今回聞いたのは「有馬記念で波乱が起こる要因と勝つための資質」。まず枠順に言及したのが、坂本記者だ。

「よく言われる“トリッキーな舞台”という要素が大きいと思いますが、そもそも枠順の有利不利が大きい。スタートしてから200m足らずでコーナーに入るため、どうしても外めの枠の馬は厳しい競馬にならざるをえません。またAコース使用の4週目とあって、馬場も荒れてタフな馬場も要因といえるでしょう。

 東京コースのように広くて力を出し切りやすく、時計の速い馬場で能力を発揮する馬には、ちょっとマッチしない条件ともいえるでしょう。昨年のアーモンドアイの場合は、1周目のホームストレッチで馬群の外めに出したところ、馬にスイッチが入ってしまい、そこから引っかかり通しで1周走ったのですから、さすがにガス欠がやむをえません。

 コーナー6つという小回りで、外を通ったらロスがあるし、かといって内は荒れている。道中の位置取りのさじ加減も、かなり大切になるでしょうから。とにかく、一筋縄ではいかない舞台でしょう」

 スタート直後にコーナーに突入する、特殊なコースレイアウトについては、山河記者も同意見のようだ。

「スタート直後に3コーナーに侵入するコース形態が最大の波乱要因だ。86年以降で16番の勝利はゼロ(4着2回が最高)と、外枠だと能力をフルに発揮するのは至難の業となる。さらに現在の番組構成においては、“中山巧者”が育ちにくいことも重要だ。

 14年に朝日杯FSが阪神に移設されて以降、中山芝で行われる平地GIは有馬と皐月賞の2つだけ。東京や阪神外回りといった“大箱”で実績を積み上げ、適性(=瞬発力)を磨いてきた組が不慣れな中山で期待を裏切る構図はむしろ必然といえよう」

 一方、高橋記者は波乱を誘発するのは、年ごとに異なるペースではないかとにらんでいる。

「最初の100mで見ているファンもラップがわかりにくくなるが、ジョッキーもペース判断が難しいというぐらい、ハイラップから超スローまでさまざまな展開が出現することが波乱につながっているのではないか。仕掛けどころが難しい。小回りでコーナー6回だけに外枠不利は明らか。

 とはいえ、内で包まれるケースもある。大外一気が届くケースもある。器用さが要求される舞台で広いコースが向く実力馬が惨敗するケースもある。コース適性や展開を見極めないと波乱の落とし穴にはまってしまうというのが長年見てきた実感だ。

 加えて、いわゆる1600m、2000m、2400mの根幹距離でなく、いかにも特殊な巧者がいる非根幹距離であることも過去のGI実績がイマイチあてにならない要因だと思う」

 では、有馬記念に向くタイプの馬を各記者はどのように見ているのか。高橋記者が、こう言葉を続ける。

「前述した通り、広いコースで力を発揮する本格派は不向き。東京と中山では明らかに適性も違う。器用さがあり、どこからでも動ける馬に向く。折り合いが付いて、他馬に揺さぶられない馬。上がりがかかる競馬が合う馬。こうした馬が合うと考えられる。とはいえ、ディープインパクトオルフェーヴルのように能力で圧倒してしまうケースもある。力が接近した年であれば、中団より前で競馬を進めることができて、折り合いの不安がない器用なタイプを狙うべきだろう」

 能力の絶対値が高ければ、中山の2500mはこなせるという見立ては山河記者も同感のようで、

ナリタブライアンシンボリクリスエスディープインパクトオルフェーヴルリスグラシュー。0秒5差以上の圧勝を飾った組は絶対的に上位の能力でアンフェアな条件を克服しており、歴史的名馬を眺めても“得意なタイプ”は浮かび上がってこない。典型例の参考になる存在は“人気薄(6番人気以下)で2-3着”に激走した組のほうか。

 10年以降の該当馬7頭のうち6頭の共通点が、外国人騎手(ウィリアムズ、ルメール3回、ビュイック、ボウマン)の手綱だったことだ。勝ち切るには図抜けたポテンシャルが必要だが、善戦程度はトリッキーなコースゆえ“腕”と創意工夫で可能といえよう。

 ところが、今年はコロナ禍で短期免許組が不在。騎手に軸足を置いた馬券作戦は成立しにくい。馬に目を向ければ、必ずしも距離適性は要求されない点に注意したい。古くはオグリキャップアメリカンボス、最近ではクイーンズリングなど1600m-2000mが本質的にはベストな組の好走も少なくない。好位で折り合い、距離ロスを抑えることができるタイプならば2500m以上の経験にこだわることはないだろう」

 と、話す。坂本記者はコースレイアウトを念頭に置きつつ、「スピードの持続力、持久力のある馬がベスト」とのこと。

「3コーナー過ぎからギアを上げて、そこから直線の急坂も克服して最後まで押し切らなければいけませんからね。今年のメンバーでいえばオーソリティカレンブーケドールクロノジェネシスワールドプレミアあたりが、イメージに合うと思います」

 と、具体的な馬名まで挙げてくれた。最後に、各記者に今年の“注目馬・推し馬”を挙げてもらった。まずは高橋記者から。

「今年のメンバーのなかでは、能力だけならフィエールマンが筆頭と見ている。本来は中距離適性も十分ある、というのがオーナーサイドの評価。ラジオNIKKEI賞で2着に負けていなければ、賞金を加えて秋は中距離路線だったかもしれない。その意味では、天皇賞・秋アーモンドアイに迫っての2着は遅ればせながら中距離への適性を示したのかもしれない。

 2500mなら距離不足でもないだろう。ただ、この馬は直線の長いコースが向く本格派。トリッキーな中山2500mで脚を余す可能性はある。フィエールマンを破る馬がいるのか、が予想のポイントになる。

 魅力を感じていたのはカレンブーケドール。GIは勝ち切れないが、2着3回。ジャパンC4着も、3冠3頭に続いてデアリングタクトとハナ差なら中身は濃い。勝ち切るための切れ味が足りないのだが、こういう馬に中山2500mは合う。しかも、器用さもある。

 デアリングタクトの杉山晴師にレース後「ジャパンCで待ってるよ」と語った国枝師はてっきりアーモンドアイのことだと思ったが、カレンブーケドールもまんざらでなかったという話を国枝師本人から聞いた。ただ有馬記念男とはいえ、どうも池添騎手がハマるタイプに見えない。それで迷っている。

 あとはワールドプレミアか。昨年の有馬記念3着は、武豊騎手らしい脚をためる競馬で決め手を生かした。ジャパンC6着の内容は、久々でいかにも試運転の内容。上積み十分で今回は面白い存在だ。

 フィエールマンクロノジェネシスラッキーライラックがリードするが、カレンブーケドールワールドプレミアをどう評価するか。このなかから選びたい」

 と、魅力的な馬ばかりの現状に頭を悩ませている様子。ワールドプレミアを推したのは、坂本記者だ。

「惑星候補として注目しているのが、ワールドプレミアです。前走のジャパンCは、長期休み明けという厳しい条件でしたが、終いを詰めて6着と地力のあるところを見せました。菊花賞を勝ったスタミナ、持久力は魅力ですし、昨年の有馬記念は最後方から4コーナーで大外を回すロスがありながら、最後まで懸命に追い上げて3着と距離、舞台適性を見せたのは大きかったと思います。叩いた上積みは大きそうですし、鞍上は何といってもレジェンドの武豊騎手。ジョッキーの腕は、長丁場でこそ違いが際立つでしょうから、昨年のイメージも踏まえて一発を狙ってくると期待しています」

 最後に教えてくれたのは、穴党の山河記者。

「前述したように、中山芝のGIは皐月賞と有馬の2つ。牝馬は中山経験がないまま、グランプリに臨むことが少なくない。未踏の地でいきなり結果を出したジェンティルドンナリスグラシューは文字通りの女傑だったわけだ。その一方でヒシアマゾン(6人気)、クイーンズリング(8人気)は当地好走歴を生かした激走だった。

 後者の例に倣えば、カレンブーケドールに悲願成就の可能性が浮上する。これまで中山芝は[1-1-1-0]。勝利は未勝利戦のひとつだけだが、紫苑S3着、オールカマー2着ともに“次”を見据えた臨戦過程で着順以上の評価が可能になる。有馬は11回の騎乗で4勝を挙げている池添の勝負強さも当然、無視できない」

“牝馬の一年”を締めくくるグランプリは、やはり牝馬が制するのか。それとも、牡馬が意地を見せるのか。運命の一戦のゲートは、明日15時25分に開く。

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