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【東京大賞典回顧】ライバル不在でオメガパフューム3連覇(斎藤修)

  • 2020年12月30日(水) 18時00分
 スローに流れての直線ヨーイドン。8着馬までがコンマ4秒差に凝縮するという接戦を制したのは、実績的に負けるわけにはいかないオメガパフュームだった。

 ワークアンドラブが逃げて、前走勝島王冠を逃げ切ったカジノフォンテンは外枠もあって2番手。浦和記念で好位に控える競馬を見せたダノンファラオは今回も3番手。見るからにゆったりしたペースは1000m通過が64秒9。大井2000mのGIとしては超スローペース。オメガパフュームもその先行勢の直後につけた。

 その楽なペースもあってワークアンドラブは4コーナー手前まで手応え十分だったが、直線を向いて好位勢に来られるとさすがに一杯になった。そして先頭に立ったカジノフォンテンが押し切るかにも思えたが、これをクビ差とらえたのがオメガパフュームだった。

 オメガパフュームの実績を考えればもの足りない着差だが、早めに抜け出すと遊んでしまう可能性があることを考えるとギリギリまで我慢しなければならず、そしてレースの上り3Fが36秒7という速い上りの決着では着差がつかなかったのも仕方ない。

 直線半ばからは1〜8着馬の脚色がほとんど一緒になって、冒頭のとおり8着馬までの差はわずか0秒4。それぞれ上りタイムは、勝ったオメガパフュームが36秒2、2着カジノフォンテンが36秒5で、3〜5着馬は揃って36秒0、7・8着馬は35秒台。大井2000mという舞台を考えると、有力勢はそれぞれが究極の上りを使ってのせめぎ合いだった。

 オメガパフュームによる東京大賞典史上初の3連覇は疑いようもなくすばらしい記録で、直線半ばからの追い比べはたしかに見ごたえのあるものだった。しかしながらチャンピオンズC組が1頭もいないというメンバー構成で、勝ち馬と差のない2、3着馬の実績を考えると、レーティング的にはGIレベルになるかどうか。スローペースゆえ仕方ないのだが、勝ちタイムの2分6秒9も、大井2000mの古馬GI/JpnIでは2013年東京大賞典ホッコータルマエ(2分6秒6)以来の2分6秒台の決着だった。

 それにしても4歳になってからのカジノフォンテンの成長はすばらしい。昨年3歳時、南関東のクラシック戦線ではようやく掲示板までという成績だったが、秋から今年4月まで休養を挟んで条件特別を4連勝。古馬重賞初挑戦となった川崎マイラーズは、着順こそ5着だったが、何がなんでも逃げるサルサディオーネに絡んでいって、直線でもそれほどバテることがなかったレースぶりから成長を感じさせていた。そして前走、勝島王冠での後続を寄せ付けないままの逃げ切りは、やはり本物だった。船橋所属でダートグレード2勝を挙げた母ジーナフォンテンに、父カジノドライヴというダートの血が開花したと言っていいだろう。

 3着ウェスタールンドは鞍上の好判断。浦和記念でも最後方を追走していたように、今回も2コーナーを回ったときは後方3番手。1000m通過の中間点あたりから進出を開始して、“ヨーイドン”になる前に位置取りを上げていた。一方で35秒台の脚を使っても7、8着だったハナズレジェンドデルマルーヴルは、勝負どころでの位置取りの差だった。

 ミューチャリーも負けず劣らずの末脚を見せて5着。これで今年地方のGI/JpnIを3戦して、4、4、5着という成績。JpnIIの日本テレビ盃でも4着があり、相手なりに高い能力を発揮している。いずれどこかでダートグレードのタイトルを期待したいところ。

 4コーナーでカジノフォンテンをとらえようかという位置にいたダノンファラオだったが、直線半ばで失速して12着。チャンピオンズCには向かわず浦和記念を勝ったことで期待されたが、一線級との対戦で秋4戦という反動はあったかもしれない。

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