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令和2年“JRAの奇跡”を智将・中村均元調教師が分析「牝高牡低」はしばらく続く

  • 2021年01月01日(金) 18時02分
 2020年、世界全体を覆い尽くした未曽有のコロナウイルス禍の中、中央競馬はこれに負けじと大奮闘。コントレイルデアリングタクトが揃って無敗の3冠馬に輝き、アーモンドアイが芝GI史上最多勝を達成。そしてジャパンカップではこの3頭が激突し、空前のドリームレース実現と日本中の話題をさらった。なぜコロナ苦境のもとで、中央競馬がここまで頑張れたのか?智将・中村均本紙専属評論家が令和2年に起こった“JRAの奇跡”を分析し、合わせて今の競馬界を取り巻く「新キーワード」を提唱する。

 コロナ禍の暗たんとしたムードが消えることがなかった2020年ですが、中央競馬は売り上げを大きく落とすことなく、前年比100%超えを記録したGI競走も少なくありませんでした。なぜJRAがここまで“快走”できたのか?その一番の理由は春に新型コロナウイルスが蔓延してきた際に、すぐさま無観客開催を打ち出したことです。当時、開催中止という選択肢もあったはず。それを無観客という、リスクを最小限にしたうえでの開催に踏み切った。これが大きい。もし一時的とはいえ開催を中止していれば、馬主経済は厳しくなり、調教師や騎手も収入がゼロに。競馬に関わるすべての人にとって大打撃となっていました。

 それを回避し、ここまでクラスターも出さずに開催を続けてきたJRAの決断は2020年の「MVP」にふさわしいものだったのではないでしょうか。秋に多くのスターホースが明るい話題を振りまきましたが、私にはこれが、コロナに負けず競馬を続けてきたことに対する、何か競馬の神様からのプレゼントのように思えるのです。

 もちろん、開催を支えたファンも「MVP」です。以前、私はコロナ時代における競馬が、「自粛」&「社会貢献」&「楽しみ」という「3効」をもたらすと説きましたが、まさにこの3つの効果は絶大でした。

 外出を控えながら馬券を楽しみ、なおかつ、それが国庫納付金となって国に貢献できる。このコロナ禍において、果たしてこんなに素晴らしい趣味が他にあるでしょうか?ある意味、未曽有の厄災が日本の競馬が持つ底力を再認識させてくれた、そう思っています。

 競馬の中身に関して言えば、とにかく牝馬が強かった。最近はずっと言われていることですが、さらに攻勢を増して牡牝混合GIは牝馬が勝つのが当たり前になってきました。平成に入ったころ、それまで弱かった関西馬が、坂路の効果もあって強くなり、以降「西高東低」と言われて久しいですが、競走馬の世界ではこれに代わるキーワード「牝高牡低」が出来上がっているようです。「西高東低」がすぐさま逆転とならなかったように、「牝高牡低」もしばらく続くのではとにらんでいます。

 最強牝馬アーモンドアイは引退しましたが、私の見立てでは同じ牝馬のグランアレグリアはこと切れ味に関してはアーモンド以上。この馬がおそらく距離を延ばしてくる2021年はコントレイルデアリングタクトとの胸躍る「新・3強対決」が待っているかもしれません。2021年も競馬界は話題豊富な年となるでしょう。

☆中村均(なかむら・ひとし)=1948年9月13日生まれ、京都府出身。麻布大学獣医学部卒業後、71年に父親の中村覚之助厩舎の厩務員となる。77年に28歳の若さで調教師免許を取得、厩舎開業後はトウカイローマン(84年オークス)、マイネルマックス(96年朝日杯3歳S)、ビートブラック(2012年天皇賞・春)でGI制覇を達成。また04年から10年まで日本調教師会の会長を務める。20年には文部科学省からプロスポーツの発展に貢献したとして「スポーツ功労者」顕彰、政府から「旭日小綬章」受章。好きな戦国武将は石田三成。

東京スポーツ

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