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【JRA】小倉大賞典制覇を祝う西浦師から担当者へ大輪の花「僅かなハナ差。師匠への恩返し、間に合ってよかった」/ねぇさんのトレセン密着

  • 2021年02月23日(火) 20時18分
 2月末で解散する西浦勝一厩舎の石橋助手は20歳のとき、ファンタストクラブで休養中のテイエムオーシャンに騎乗していた時、初めて西浦師と出会いました。

「馬を見る目は厳しく、最初の印象は怖かったです。でも、馬から降りると食事に誘っていただくようになり、やがてJRAの厩務員への道が開けました」(石橋助手)

 トレセンに入ったあとは16年間、西浦厩舎ひとすじの馬人生。最近の担当馬はテリトーリアル。2019年に準オープンの難波S、リステッド競走のカシオペアSを制するも、そのあと、重賞ではあと一歩の成績が続いていました。

「昨年の秋、リステッド競走のオクトーバーSは勝ちましたが、そのあとの福島記念は3着。続く、中日新聞杯も大事に乗ってくれたのですが9着。年が明けた中山金杯も切れ味勝負の競馬になってしまい展開が向かず6着。と、悔しい競馬が続いていたんです。

 でも、うちの先生は石川騎手を乗せ続けてくれました。そして、今回の小倉大賞典では『この馬の力を信じる競馬をしよう』と話していたんです」

 7歳馬。脚元は絶好調とまではいかなかったけれど、心臓の音は抜群に良かったそうです。

「西浦先生には公私にわたり、本当によくして頂きました。ただ僕はまだ重賞を勝てなかった。だから、先生の厩舎でお世話になっているうちに、なんとか師匠に重賞をプレゼントしたかったんです」

 そして、先週の日曜。西浦厩舎解散を翌週に控えた小倉大賞典。離れた3番手からレースを進めたテリトーリアルは、直線で馬場のいい外に出してじっくりと追い出しました。白く大きな作が目立ち、前をとらえる勢い。外から脚色よくボッケリーニが迫ってきましたが、持ち前の渋太さでなんとか粘り切り、ハナ差で勝ち切りました。

「きわどい差だったので、石川騎手も僕もどちらが勝ったのか、わかりませんでした。でも、勝ったとわかった瞬間から涙が止まらなくて。やっとやっと、師匠に恩返しが出来た。間に合って良かった。と、胸がいっぱいになりました」

 そして、溢れる感激と共に栗東に戻った人馬には、思いがけないプレゼントが待っていました。

「西浦先生が僕にお祝いの花を届けにきてくれたんです。びっくりしたと同時に、ここまでして頂けるなんて、また感激してしまいました」

 重賞を勝つと厩舎には様々な方からお祝いの花が届きます。でも、調教師が自らスタッフに重賞勝ち祝いの花を贈るなんて、少なくとも私は初めて聞きました。なんてステキな師匠なんでしょう!

「僕がプレゼントしたつもりでしたが…さすが師匠です。ハナ差でしたが、大きな大きな勝ち星でした」

(取材・文:花岡貴子)

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