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【黒船賞回顧】小回りで能力を発揮したテイエムサウスダン(斎藤修)

  • 2021年03月17日(水) 18時00分
 外枠からすぐに好位につけ、スムーズにレースが運べたテイエムサウスダンの強さだけが目立ったレースだった。

 それにしても1年5カ月の休み明けで、この距離も久々というグリムがハナを切って、それほど無理をしたわけでもなく22秒6というペースには、ちょっと驚いた。ただ、例年と比べて極端に速いペースというわけでもない。

 そのやや速いペースを、最初のゴール板あたりで抑えなければ行ききってしまうのではないかという勢いがテイエムサウスダンだった。向正面でも岩田康誠騎手はがっちり抑えたままでタメができたのだろう。3〜4コーナー中間、先頭のグリムをとらえて交わしたあたりの手応えが抜群だった。一方で追走してくる有力馬たちの鞍上は追い通し。それが8馬身差という圧倒的な差になった。

 勝ったテイエムサウスダンは、冒頭のとおりスムーズにレースが運べたことに加え、2歳時に兵庫ジュニアグランプリを制したという地方の小回りコースへの適性をあらためて示した。昇竜Sを勝ったあと、一旦は落ち込んだように思われたが、すばるSで復活とも思える快勝。前走根岸Sの惨敗は先行勢総崩れのハイペースに巻き込まれてのもの。中央のダート短距離でも4勝を挙げているが、むしろ能力を発揮するのは地方の重い砂の小回りコースで、それは父サウスヴィグラスという血統ゆえとも思われる。

 強い勝ち方を見せたテイエムサウスダンは、今後もこの路線での有力馬になることは間違いない。ただ、勝ちタイムの1分27秒6(重)は近年の黒船賞との比較でも平均的なもの。8馬身という着差は額面通り受け取らないほうがいいかもしれない。他の有力馬が走らなすぎた。

 2着のスリーグランドは、5着に負けたすばるSと同じようにパドックでテンションが高かった。前走では初めて逃げて勝っていたが、今回は速い流れを追いかけてはいかず、前半は中団より後ろから。3コーナー手前から先行集団をとらえにかかり、実際に勝ち馬以外の馬たちはきっちりとらえたが、そこからテイエムサウスダンに食い下がるほどの脚は残っていなかった。

 直線で2着はあるかに思えたモジアナフレイバーは3着。初めての1400mに加え、2カ月半の休み明け、さらに長距離輸送でということでは、むしろ頑張った3着といえるのではないか。ただ経験がなかった小回りコースへの対応は、4コーナーあたりで苦労しているように見えた。

 グリムは1年5カ月ぶりの実戦で、久しぶりの短距離戦ということでは、4着でも上々の走りを見せた。この短距離戦での厳しいペースの経験は次に生かせるはず。

 サクセスエナジーは、まったくらしくない走りだった。最内枠ということもあったかどうか。ただ園田などでは内々を走ってきて結果を残している。高知の内は以前ほど重いわけではなく、実際、続く第4レースのはりまや盃では最後方からサクセスエナジーと同じように内を通ってきた馬が直線抜け出して勝っている。サクセスエナジーはスタート後からまったく行きっぷりが悪くムチが入っていた。1〜2コーナーではコーナーワークで位置取りを上げ、ペースが落ち着いた向正面でテイエムサウスダンと併走するところまで来たが、4コーナー手前でお釣りが残っていなかった。58kgは何度もこなしている斤量で、これが実力ではない。

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