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【桜花賞】当歳から「普通じゃない」雰囲気醸し出すアールドヴィーヴル 3戦目最少キャリアタイで花咲かす/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2021年04月07日(水) 18時00分
 昨年、史上初となる無敗での牝馬3冠制覇を成し遂げたデアリングタクトは、キャリア3戦目での桜花賞制覇も史上最速タイ。1980年のハギノトップレディ以来、実に40年ぶり3頭目の快挙だった。

 近年はトライアルを経由せずにクラシックに直行するスタイルが主流化しつつあるとはいえ、さすがに実戦経験2回の馬がクラシックを勝つのは至難の業。この事実ひとつ取ってみても、いかにデアリングタクトが傑出した存在かの証左となろう。

 実は今年も、その快挙への挑戦権を持つ馬が一頭だけ存在する。キャリア3戦目で第81回桜花賞(11日=阪神芝外1600メートル)に挑むアールドヴィーヴルだ。

 昨年10月10日のデビュー戦(京都芝内1600メートル)は折からの悪天候で不良馬場。しかも後方からのレースとなったが、鞍上の松山が直線で追い出してからは抜群の推進力でみるみる加速。一頭だけ違う脚色でゴールを駆け抜けた。上がり3ハロン34秒9はレースのそれを実に1秒上回るもの。馬場状態を考えれば、まさに驚くべく切れ味で衝撃のデビューを飾ってみせたのである。

 2戦目は今年2月13日のGIIIクイーンC(東京芝1600メートル)。道中は馬混みで勝ち馬を見ながら運んで直線へ。外に張るシーンもあり、追い出しからトップギアに入るまで多少時間はかかったものの、一旦は前に出られた3着馬ククナを差し返し、最終的にはこの桜花賞でも主役の一頭と目されるアカイトリノムスメをクビ差まで追い詰めた。まさに負けて強しの2着である。

 管理する今野調教師はアールドヴィーヴルの過去2戦をこう振り返る。「タイプ的にもまだ攻めこんでいい時期ではなかったし、初戦は“まあ競馬にはなるだろう”という程度の仕上げでしたからね」とまずは余裕残しの発進であったことを強調。そして「2戦目はゲートもまずまず出たし、ためも利いていて、上手な競馬ができましたが、反応はちょっと鈍かったですね」と完成はまだまだ先といった口ぶり。もちろん、それは今後への大きな期待の裏返しなのだろう。

 十分に間隔を取ってレースを使い、成長を促しながらの調整が続くアールドヴィーヴル。前走はマイナス18キロでの競馬となったが、「新馬が余裕のある中での競馬だったから、そこからのマイナスはまったく問題ないです」とトレーナーも特段意に介す様子はない。

「今回も体はそう変わらないと思うけど、少しずつ無駄肉のない体つきになって、トモの緩さも解消されつつあります。この中間の過程は前回よりだいぶいいですよ」

 唯一の誤算は、過去2戦の鞍上・松山の騎乗停止による乗り替わりだが、新たに手綱を取るミルコ・デムーロが1週前追い切りに騎乗して感触を確認。「反応も良くなっているようだし、パフォーマンスの内容は前回より一段階以上、上がってますね」とさらに自信を深めているようだ。

 日ごろから時間が許す限り、牧場や競り市を見て回り、自らの相馬眼を養う努力を怠らない今野調教師が、まだ生まれて間もないころにひと目見ただけで、その骨格のバランスや品のあるたたずまい、醸し出す雰囲気から「普通の馬じゃない」と感じ取ったというアールドヴィーヴル。まだまだ途上段階にあるとはいえ、一日一日着実に成長を遂げている素質馬が完成形に近づいたとき、いったいどれほどのパフォーマンスを繰り出すのか。まずは今週末の桜花賞でその一端が垣間見えるはず。仮にその段階で最少キャリア制覇に並ぶようなことがあれば…。本当に末恐ろしい。

(鈴木邦宏)

東京スポーツ

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