フランス語の「星」という意味から派生して歌劇の「花形」を表すこともあるレース名とは裏腹に、昨年と同様、ダート
グレードであるBGCにメインを譲り、その影に隠れる形で最終レースに行われる。ただ実際のところ、メンバーの力差が歴然としているBGCより、実力伯仲かつ個性の強い馬たちで争われるこちらの方が、予想の面白いレースである。
イダペガサスを狙いたい。というのも、今季3戦いずれも、能力を遺憾なく発揮したレースではないからだ。4月の緒戦は、ペースメーカーの落馬によって全馬がプランを失って動けなかった特殊なレース。北海道SCではスタート後に派手に躓き、リズムを崩してしまった。そして先月の金沢SCでは、勝負どころで横に広がった先行隊列に行く手を阻まれ、ロスの大きい競馬を余儀なくされた。
ス
プリント路線に舵を切ってまだ日が浅い馬だが、昨年の
JRAカペラSでの9着には大きな伸びしろを見た。能力全開なら勝機十分だ。
対抗にした
ニットウスバルは、今季の好調ぶりを評価した。北海道SCでは地方勢最先着の4着と健闘し、前走の門別ス
プリントではやや距離不足の1000m戦ながら3着に好走してみせた。この重賞は昨年5着だったが、今年はそれ以上にやれる状態にある。
個性派といえば
ジャスパーシャインだ。殿一気という離れ業で一躍、頂点に立った昨年の道営ス
プリントは記憶に新しい。これまで6勝しながら2、3着はゼロという極端な成績だが、負けているレースでも末脚は確かで、流れひとつで突き抜ける可能性を秘めている。
確たる逃げ馬は不在とあり、積極策に出れば
スティールペガサスの粘り込みに注意が必要だ。出負けして捲くり上がるレースが常の
ソルサリエンテは最もクセが強いキャラクターだが、昨年の覇者でもあり、ここ2戦の復調気配と合わせて抑えておきたい。印は回せなかったが、古豪
メイショウアイアンや、桧森厩舎の3頭にも魅力はあり、難解を極める一戦である。
(文:競馬ブック・板垣祐介)