いつもの年であれば京都競馬場で開催される伝統の一戦。今年は改修工事のため阪神競馬場に場所を移して行われる。
近年、古馬戦線の春のローテーションは多様化しており、以前なら
天皇賞・春に駒を進めてきたであろう中距離向きの実力馬が、ドバイや香港に流れるケースが増えた。そうした状況は、もともと3200m戦に狙いを絞っていたステイヤーにとって追い風だ。ここ数年の
天皇賞・春は、中距離タイプではなく長距離タイプがキッチリと馬券に絡み、見ごたえのあるスタミナ較べが繰り広げられている。直近の4年間、1番人気馬が連対を続けているのも、能力上位のステイヤーが好走しやすいというレース傾向の表れだろう。
ただ、今年は上位勢力の実力が拮抗しており、何が1番人気になるのか予測しづらい。馬券的にはかなりおもしろい一戦だ。
芝2500m以上のGIで連対したことのある馬、あるいはGIIを勝ったことのある馬は能力的に評価できる。これに該当するのは
ワールドプレミア、
アリストテレス、
ユーキャンスマイル、
ディープボンド、
ウインマリリン、
オーソリティの6頭。
今年行われる阪神芝3200mのコースは、1周目が外回り、2周目が内回りなので、ラストの直線が短い。したがって、直線の長い東京や京都外回りの実績よりも、直線の短い中山や阪神内回りの実績のほうが信頼できる。後者で勝った経験のある馬を重視したい。機動力の乏しい不器用なタイプは苦しいだろう。
週中の雨の影響で、パンパンの良馬場までは回復しそうにないので、道悪実績にも注意を払いたいところ。
サドラーズウェルズのような重厚なヨーロッパ血統を抱えた馬が有利だ。
(文:栗山求)