昨年のGI
朝日杯FS勝ち馬
グレナディアガーズは早々とこの
NHKマイルカップ(9日=東京芝1600メートル)に目標を定め、3歳世代のマイル路線をけん引してきた。といっても多彩な前哨戦から骨っぽいメンバーが集まり、混戦を極める様相だ。当欄の注目は
アナザーリリック。
桜花賞を捨てて参戦する牝馬が間隙を突く――。
桜花賞トライアルの
アネモネSをデビュー3戦目で制しながら、牝馬クラシックではなく同世代のマイル王決定戦に照準を絞ったのが
アナザーリリックだ。確かに
アネモネSから中3週での
桜花賞参戦は、阪神への輸送も挟む過酷なローテーション。逆に2か月近いレース間隔で、しかも“ホーム”の東京競馬場で行われる
NHKマイルCを狙うのは、理にかなった作戦とも言える。もちろんそれは“勝算”があっての話だ。
「これまでも間隔を空けながら使ってきたし、前走後は背腰に少し疲れも出たので大事を取ってここへ。牧場(ノーザンファーム天栄)のほうでいい状態に仕上げて帰厩させてもらい、しっかりした態勢で臨めそうです」
こう話すのは管理する林調教師。デビュー戦は昨年8月の新潟(1着)で2戦目は年明けの
菜の花賞(2着)。さらに続く
アネモネSまで約2か月のレース間隔だったように、しっかり間隔を取りながらの出走がいわばこの馬のルーティンか。ちなみに
菜の花賞でアタマ差の勝ち馬
スライリーはGII
フローラSで2着。0秒1差3着に退けた
ストゥーティが
桜花賞7着なら、
アナザーリリックがクラシックに駒を進めていても十分に好勝負可能だった計算になる。
さらに
NHKマイルCにこだわった理由が東京コースだ。これまでに新潟と中山でしか走っていない同馬だが、林調教師には確かな狙いと自信がある。
「中山で勝ちましたが、本質的には東京向きだと思っているんです。むしろ、まだ馬が良くなっている途中で中山を克服し、しかもいいパフォーマンスをしてくれたのは収穫でした。新潟の勝ちっぷりが良かったように、この馬には左回りのマイルが一番の舞台。鞍上(津村)もデビュー戦からずっと乗って、レースで競馬を教えています。この馬の特性はよく分かっていますからね。心強い限りです」
クラシック第1冠は牝馬が
ソダシ、牡馬が
エフフォーリアとそれぞれ無敗で戴冠した。果たして同世代における牡馬と牝馬はどちらが強いのか?
アナザーリリックがそのヒントを与えてくれるかもしれない。
(特捜班)
東京スポーツ