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その強さは永遠の謎!?「純白の女王」ソダシが2冠制覇へ挑む

  • 2021年05月18日(火) 18時00分
 新緑まぶしい中、一年で最も競馬界が華やぐ季節を迎えた。23日に3歳牝馬の女王決定戦「オークス」、次週30日が、ホースマンあこがれの夢舞台「日本ダービー」。昨年のデアリングタクトコントレイルに続き、牡・牝そろって無敗のクラシック2冠馬が誕生するのか、競馬ファンのテンションは日一日とヒートアップしていることだろう。

 依然として出口の見えないコロナ禍。昨年はJRA史上初めて無観客で行われた。静寂の中で粛々と行われた競馬界最高のステージ。割れんばかりの大歓声を聞き慣れていた記者にとっても、初めての経験だった。馬の蹄(ひづめ)の音と、ジョッキーが使うステッキの音が広大な競馬場に淡々と響くのみ。歴史的瞬間を、多くの競馬ファンと同じ場所で共有できなかったのは寂しかった。今年も状況は変わっていない。それでも関係者の努力もあり、緊急事態宣言の状況下でも抽選に当選した限られた人数とはいえ、2年ぶりに競馬ファンの前で注目の2大レースが行われることになった。

 特にオークスは、「純白の女王」ソダシの登場もあって、ファンの注目度は増していることだろう。昨年10月、東京競馬場でのアルテミスSで初めて実物を見た。緑のターフの上で、真っ白な馬体が先頭に躍り出たシーン。そのコントラストは実に鮮やかなもので、思わず感動した。そんな白毛馬ソダシが無敗のまま2冠奪取にチャレンジする。これまで何頭もの白毛馬を取材してきた記者にとっては、実に感慨深い。

 日本の競馬界で走っているサラブレッドの毛色には8種類あるが、その中で最も少ないのが白毛。現在、JRA現役登録馬約8500頭のうち、わずか7頭しかいない。年齢を重ねるにつれて白くなっていく芦毛とは違い、生まれた時からほぼ真っ白なのだ。日本でのその歴史は、1979年に突然変異で誕生したハクタイユーにはじまる。その産駒ハクホウクンが97年に大井競馬で国内初勝利。JRAでの初勝利は07年4月のホワイトベッセルソダシの伯父)で、担当厩務員が上下真っ白のスーツ&帽子&靴という、ド派手な姿でパドックに登場したのには驚いた。

 ソダシ母ブチコは全身に斑(まだら)模様をあしらった白毛。ダートで4勝を挙げて、オープンで活躍した。その母シラユキヒメは、大種牡馬サンデーサイレンスを父に持ったが、未勝利のままだった。他の毛色よりも虚弱ということで出走するたびに注目されるが、なかなか成績が伴わなかったのがほとんどだった。

 そんな中で登場したユキチャンソダシの伯母、父クロフネ)の走りが、白毛一族の成り上がる礎となった。武豊を背に8馬身差でぶっちぎった08年関東オークス(川崎)を皮切りに、09年デイリー杯クイーン賞(船橋)、10年TCK女王盃(大井)と交流重賞3勝。10年のNAR(地方競馬)グランプリでは最優秀牝馬の称号も得た。ちなみに唯一、芝でも勝っている(08年ミモザ賞)が、この時、手綱を取っていたのがソダシの主戦・吉田隼人だった。

 レース直後の姿を間近で見ると、どの白毛馬も体中の血管が浮き上がって、全身が鮮やかなピンク色になる。想像した以上の光景に、最初はちょっと引いたのを思い出す。ある白毛馬を担当していた厩務員から聞いたことがある。「(厩舎の)馬房から出れば注目されるでしょ。カメラにも撮られる。だから毎日、他の人より1時間早く厩舎に来て、手入れをするんだ。だって、寝わらの上をゴロゴロ転がるもんだから、いつも体はフンまみれなんだよ」と笑っていた。ソダシを担当しているのは『平成の暴れん坊』こと、G1・6勝馬ゴールドシップ(芦毛)を担当していた今浪厩務員。そのあたり、同じ苦労があるだろうか。

 ぬいぐるみの売れ行きも爆発的だという。ソダシはデビューから無傷の5連勝中。阪神JFで白毛馬初のG1制覇を成し遂げると、桜花賞はレコードタイムで白毛馬初の牝馬クラシック制覇。その勝ち方に派手さはないが、決して抜かせない脅威の粘りが身上。白毛馬たちの弱い時代を知っている記者としては、「まさか白いぬいぐるみでもかぶっているの」とジョークでも言いたくなるような強さだ。

 どうして強いのか。それは誰にも分からない永遠の謎なのかもしれない。ただ、管理する須貝調教師が「ソダシ自身がこちらの要求に応えてくれているし、ソダシだからこそ、応えてくれると思う」と言うように、目の前の1勝、さらに次の1勝と、ひたむきに勝利を目指す関係者の情熱と愛馬に寄せる信頼感。それに必死に応えようとする一頭の白毛馬。その呼吸がピタリとはまった。それも強さの要因のひとつだろう。

 勝つたびに競馬の歴史を塗り替える『純白の桜の女王』が、今度は樫の王冠奪取へ最有力候補として挑む。その日を待ちに待った競馬ファンの目の前で、きっと必ず強いソダシを見せてくれるはずだ。(デイリースポーツ・村上英明)

提供:デイリースポーツ

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