ダイワキャグニーがハナを切り、逃げると見られていた
トーラスジェミニが外から2番手におさまった。主導権争いが激しくなればもっとペースが速くなったかもしれないが、ゲートから1ハロンほどのところで先行集団の馬順は決まった。
前を行く2頭の1馬身半ほど後ろに
ダノンプレミアム、
ラウダシオンがつけ、その後ろに2番人気の
インディチャンプがいる。
その2馬身ほど後ろの中団に
サリオス、
川田将雅の
ダノンキングリーらがつけ、圧倒的1番人気に支持された
クリストフ・ルメールの
グランアレグリアは1馬身半ほど後ろの馬群のなかにいる。
先頭から最後方までは10馬身もなく、前半800m通過は46秒4。稍重だった昨年の45秒7、今年と同じく良馬場だった一昨年の45秒8よりかなり遅い流れになった。
ダイワキャグニーが先頭のまま3、4コーナーを回り、直線へ。
トーラスジェミニが2番手。2、3馬身後ろに
インディチャンプがいる。その外に
シュネルマイスター、さらに外から
ダノンキングリーが伸びてくる。
「道中のリズムがよかったので溜めることができました。これなら動いて行けるという感触を得て直線に向きました」
そう話した川田の前はクリアになっていたのだが、斜め後ろにいる
グランアレグリアの前は壁になっている。ルメールの手はずっと動いたままで、手綱を引っ張るようなロスはないのだが、ラスト400m地点でもまだ前が塞がっている。
ラスト300m地点でも先頭は逃げた
ダイワキャグニー。2番手の
トーラスジェミニも踏ん張っている。
これらの外から
インディチャンプが鋭く伸びてきて、一気にかわしにかかる。さらに外から
シュネルマイスターと
ダノンキングリーも末脚を伸ばす。
ラスト200m手前で、ルメールの右ステッキを受けた
グランアレグリアが内に切れ込みながら
インディチャンプと
トーラスジェミニの間に進路を取り、スパートをかけた。ようやく進路ができた。
ラスト100m付近で
インディチャンプが先頭に立ち、その内から
グランアレグリアが凄まじい脚で伸びてくる。
グランアレグリアが
インディチャンプを競り落とし、連覇達成かと思われたが、外の
ダノンキングリーが猛然とス
トライドを伸ばして襲いかかる。2頭が馬体を離したまま横並びでゴールしたが、外の
ダノンキングリーが頭差だけ前に出ていた。
テン乗りの川田が爆発力を引き出し、
ダノンキングリーに初めてのGIタイトルをプレゼントした。
(文:島田明宏)