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【POG】フェニックスループは時代を締めくくるにふさわしい血統/POGマル秘週報

東京スポーツ
  • 2021年06月16日(水) 20時30分
「キンカメ、もうダメらしいですよ」

 そんな話を他紙の記者から耳打ちされたのは一昨年のセレクトセールの時だった。暑い日だったような気がする。まあ、セレクトセールは北海道と思えないほどの暑さになることも珍しくないのだけれど、それが記者にとって最後のセレクトセール取材(コロナ収束次第では行けるかもしれないが…)になるとは思ってもいなかった。わずか2年で世界は一変するものなのだな、と感じずにはいられない。

 もう一つ。キングカメハメハよりも先にディープインパクトが他界するとも思っていなかった。

 日本の生産界をリードした2頭の大種牡馬が消えてしまった時期(ディープインパクト=7月30日、キングカメハメハ=8月9日)は重なっており、当時は“一つの時代の終わり”なんて言葉も使われたりしたものだが、そのころからわかっていたことはディープインパクトにとっては事実上の、そしてキングカメハメハにとっては正真正銘のラストクロップが登場する2021-22年シーズンのクラシックこそが、その時代の終わりであるということだ。

 東京開催の開幕週にコマンドライン(牡・国枝)という大物を出したディープインパクトに遅れること2週間。同じ東京の芝1600メートル(19日)にキングカメハメハを父に持つフェニックスループ(牡・平田)が登場する。キングカメハメハのラストクロップというだけでなく、母マルセリーナディープインパクト産駒のGI初勝利&クラシック初制覇(11年桜花賞)を果たしている。まさに時代の終わりを象徴するにふさわしい血統馬だ。

「440キロ台で競馬に使うことになるんじゃないかと思っている。調教を強めても体が減っている感じはないし、東京へ輸送しても数字は大きく変わらないんじゃないかな」と担当の日迫助手。キングカメハメハのラストクロップということで注目を集めながらも、小柄な牡馬のイメージはむしろ母父のディープインパクト寄り。これもまた話題の一つと言えるのかもしれない。

「お兄ちゃんたちもそんなに大きくなかったみたい(長兄のラストドラフトは454キロ、全兄で2番子のヒートオンビートは464キロでデビュー)。そんな感じの血統なのかもしれないね。まだ緩さは残っているけど、入厩してきた当時に比べるとかなり良くなっているし、背中の感触はいい馬だから」

 ちなみに日迫助手は所属していた石坂正厩舎の解散により、3月に平田厩舎に移籍してきたわけだが、石坂正厩舎時代を代表する担当馬はジェンティルドンナ。牝馬3冠だけでなく、ジャパンCを連覇し、ドバイシーマクラシック有馬記念も勝ったこの女傑は、現在もディープインパクト産駒の賞金王として名を刻む存在。ここにも縁を感じてしまう。

「厩舎が解散して、平田厩舎に移って、いきなりこんないい血統の馬をやらせてもらって…。申し訳ない気持ちもあるんだけどね」と苦笑いする日迫助手の新しいパートナー=フェニックスループが、時代を締めくくるにふさわしい馬になってほしいと心から願う。

(松浪大樹)

東京スポーツ

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