サマー2000シリーズの開幕を告げるハンデキャップレース。東日本大震災で被災した福島競馬場に代わり、中山競馬場で行われた2011年を除く、過去10年の傾向を探る。
小回り競馬場の多頭数競馬で、ハンデ戦。1番人気馬は2勝2着1回3着2回(同着あり)と苦戦傾向で、トップハンデ馬も延べ17頭がレースに挑み2勝2着2回。しかし、昨年(
クレッシェンドラヴ)、一昨年(
ミッキースワロー)と2年連続で優勝している。少し枠を広げて1〜3番人気馬を調べても、6勝2着2回3着3回(同着あり)と波乱含みの1戦だ。
◎
ブラックマジックはセレクトセールの高額取引馬で、
迎春Sの優勝馬。2歳秋にデビューしたものの、ゆっくりと力をつけて初勝利は3歳1月の芝2200m戦。瞬発力には欠くものの、容易にバテないスタミナを背景とした逃げ、先行力が武器。前走の
ダイヤモンドSは終始ハナを切るようなレースになって集中力を切らしてしまったが、前々走の
迎春Sは早め先頭から後続の追撃を封じめている。
破った相手が
ウインキートス、そして
デゼルだっただけに価値は高い。重賞2回目の挑戦だけに54キロのハンデはやや見込まれた感もあるが、逆に考えれば能力を高く認められたということ。逃げ、先行馬が多い組み合わせで、正直ペースが読み切れない部分もあるが、この枠順であれば意外とそれほど速いペースにはならないのではないか。本命に推したい。
〇
アールスターは昨年夏の
小倉記念優勝馬。1勝クラスで2着を6回続けるなど勝ちきれない面もあったが、少しずつ競馬に慣れて特別競走を2連勝。3勝クラスに上がったあとでも同クラスで通用する脚を見せていたが、3勝クラスを勝ち上がる前に、昨年夏の
小倉記念に勝利した。
当時、調子もよく、53キロのハンデも味方してくれたのだろうが、この馬の最大の武器である立ち回りの上手さ、そして瞬発力が光る1戦でもあった。そのあとはハンデ戦でも3キロ増の56キロを課せられているが、長い直線や長い距離のレースを除けば、
中山金杯5着、
小倉大賞典4着と「らしさ」は失っておらず、侮れない存在だ。
▲
クラージュゲリエは
京都2歳Sに勝ち、
共同通信杯3着。
皐月賞5着、ダービー6着の実力馬。2度の長期休養前の成績を考えれば主力として扱わなければならないところだが、前走、前々走がちょっとふがいなかった。それでも
アンドロメダSはクビ差2着、
日経新春杯でも3着に押し上げており、その内容からまだまだ見限れない1頭だ。
七夕賞を2年連続で連対中の△
クレッシェンドラヴは現役屈指の福島巧者。一昨年は55キロ2着で、昨年は57キロをものともせずに先頭ゴールインを果たしている。
オールカマー4着のあとは
ジャパンC、
有馬記念、
大阪杯と3戦連続でGI競走を使われて高く、厚い壁に阻まれている印象だが、この相手であれば格が違う。馬格に恵まれた筋肉質の牡馬だけに初めて背負う58キロも極端に割り引く必要はなさそうだ。ただし、上がり目という部分ではどうだろう。
△
ワーケアは新馬、アイビーSを連勝し、
ホープフルS3着のち
弥生賞2着。世代屈指の実力を認められる存在となったが、
皐月賞を自重して挑んだダービーは3番人気8着。ダービー以降は
新潟記念、
富士ステークスと左回りの競馬を選んで使われているが、右回りがダメとも思いづらい。
ホープフルSは1週目のスタンド前で両サイドから挟まれて位置取りが下がり、
弥生賞は負けたとはいえ重馬場のコンディションで相手は
サトノフラッグだった。ここは
新潟記念へ向けての1戦という見方もできないわけではないが、今後のためにもめどを立てておきたいところだ。
△
トーラスジェミニ、△
ショウナンバルディもペース次第では見せ場以上も。