【東西本紙が振り返る2021年上半期GI・古馬編】
舘林勲(東スポ本紙)3歳編に続いて今回は古馬編。総じて言えば「やっぱり牝馬が強い」の結果だったかな。厳密には「
クロノジェネシスだけが強かった」が正解だけど。
松浪大樹(大スポ本紙)
レイパパレ、
グランアレグリアを評価しないなんて…。相変わらず先輩の評価は厳しいですね(苦笑)。
舘林 評価していないわけではないが、
クロノジェネシスのインパクトがそれらの上をいった。そこに異論はないだろう?
松浪 はい、異論はございません。
クロノジェネシスが最も強かったです。
舘林 昨年のパフォーマンスも実質的には
アーモンドアイ以上と思っていたけど、2000メートル以上での現役最強を改めて印象付けたな。それが
宝塚記念の感想。ドバイでは負けてしまったけど、あれで海外遠征への耐性も付いただろうし、意味はあったと思う。
松浪 僕はドバイに出発する直前の追い切りを見に行っているんですけど、その時点で昨年よりも
スケールアップしている気がしましたし、陣営もそのような話をしていました。
宝塚記念では1週前追いの失敗、理想的ではない臨戦過程でありながら、昨年の
有馬記念よりも4キロの体重増は進化が止まっていないことの証明。5歳牝馬でも成長できることは
リスグラシューが証明してくれていますし、大目標を控える秋も期待できると思います。
舘林 今年の
凱旋門賞は相手も揃いそうだが、好勝負が可能な力量馬だと俺も思っている。馬場状態も不問。本当に楽しみ。
松浪 最後の決め手はジョッキーかな。
凱旋門賞はトップジョッキーの確保が大事なレース。意中の騎手の体が空いてくれることを切に願っています。
舘林 一方、国内は
クロノジェネシスが不在の秋競馬で逆に予想のしがいがありそうだな。
松浪 そうですか?良馬場の東京なら
コントレイルが無双すると思ってますけど。
舘林 オマエは相変わらずの楽観論だな(苦笑)。
松浪 3冠馬で
ディープインパクトの最優良後継種牡馬である
コントレイルへの期待値もありますけどね。もちろん、心配材料はあって、それは馬体が良くなり過ぎてしまったこと。
ディープインパクトの中距離馬は馬体に厚みが出てくると本来の切れを失ってしまうんですよね。
キズナはその顕著な例でした。
舘林
グランアレグリアはデビューから40キロの増量をしても強いぞ。
松浪
グランアレグリアの本質はマイラーじゃないですか。あくまで2000〜2400メートルをテリトリーにする場合の話です。30キロも増えた
シャフリヤールが現在と同じ切れを持っていると思います?あの体だから切れるんですよ。
舘林
コントレイルの話が出たわけだし、ついでに
大阪杯の話もしようか。まあ、勝ったのは
レイパパレだったわけだが。
松浪 あまりにも特殊な馬場。結果と能力がリンクすると思っている人は少ないでしょう。
舘林 それは
コントレイルと
グランアレグリアに対しての評価だな。
松浪 もちろんです。
レイパパレのパフォーマンスは素晴らしいものでした。しかし、歴代の名牝が持っていたオーラというか、力強さといったものが感じられなかったのも確かです。
ユニコーンライオンに競り負けた
宝塚記念がその証明。この秋が正念場になるんじゃないかと。
舘林
グランアレグリアは
ヴィクトリアマイルを楽勝して、
安田記念はアタマ差の2着。
安田記念は不安要素が戦前からあったわけだし、驚く敗戦ではなかったかもしれないけど、勝った馬がなあ…。
松浪 そこです。
グランアレグリアの敗戦よりも
ダノンキングリーの勝利に驚きました。
舘林
高松宮記念の
ダノンスマッシュのときも思ったけど、それ以上に
安田記念は「えっ、いまさら
ダノンキングリーが勝つの?」って。調教を見ていても体がこぢんまりしていると感じていたし、その判断が間違っているとも思っていないから、この勝利はある意味でショックだったな。
松浪 久々に素晴らしい状態に仕上がっていた
インディチャンプが3着を外したのもショックでしたけど(苦笑)。
舘林 それも含めて全体レベルが下がり目の傾向にあるんだろう。
グランアレグリアが本格的に中距離へとシフトするなら、この路線は確固たる主役が不在になってしまう。まあ、個人的には「いまさら馬」でもGIを勝てるのなら、俺のようなロートルでもまだまだ通用する。クビになることはないな。
松浪 イキのいい3歳馬の活躍が、先輩の引退決断を早めないことを祈っています(苦笑)。
東京スポーツ