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「ブロック制」解除で3回新潟開催は関西馬の“漁場” 関越Sで関東馬が意地を見せるか/トレセン発秘話

東京スポーツ
  • 2021年07月28日(水) 21時48分
 猛暑日の続く日本列島。栗東トレセンも馬場開場時間の午前5時こそ涼やかな風が吹くものの、日が高くなるにつれてみるみる気温は上昇。ものの1時間もすれば、馬を引いて運動中の厩務員さんや騎乗する調教助手さんたちの額からは汗がしたたり落ち、追い切りを終えて引き揚げてくる馬たちの中にもゼーゼーと息を乱して、いつもより苦しそうな姿が見受けられたりもします。

「おやっ?今日は後半の調教予定はないんですか?」との当方の振りに、「ええ、なるべく涼しい時間帯に調教を済ませたほうがいいと思って。でも7時でもうダメな気温ですよね」とは斉藤崇調教師。みなさん猛暑下での対策をいろいろと工夫されてるんですねえ。

 各厩舎が前倒し&時短で調教を行うとなれば、取材させてもらうこちらもテキパキと動かなきゃ。炎天下を歩き回ると一瞬にして汗だくです。こりゃ無理なやつだな。冷房の効いたスタンドへ戻ったところへ、ひょっこりと顔を出してくれたのは池添学調教師。自身も調教に騎乗する若手調教師さん。厩舎に出向いてもなかなか出会うことのできない師が、こちらを気遣ってわざわざ取材対応のために足を運んでくれたようです。ありがたや。ソーシャルディスタンスを保ちつつ、出走予定馬についてのコメントを聞かせてもらい…。とまあ、こんな毎日を送っております。

 そんな中、現状の変則開催について、「西の本場開催となる小倉を休みにすると、東西でいろいろ不公平が生じるのではないか?」って競馬ファンからの声をいただいたのですが…。

「新潟?そんなもん近いがな。高速乗って降りたらすぐ着くぞ。何やったら小倉に行くより楽やろ」というセリフは30年近くも前から、もう定説として聞かされてきた栗東厩舎スタッフのお言葉です。少なくとも新潟競馬場に対して関西馬のアウェー意識は全くございません。

 さらに言えば、当3回新潟開催では未勝利クラスと1勝クラスで関西馬の出走を拒む「ブロック制」が解除されました。「1週目は2頭と寂しくなりましたが、2週目はもっと多く出走する予定ですよ。“追込み”なら馬房の心配はありませんから」と斉藤崇調教師。この“追込み”とは出走馬が確定してから競馬場の馬房が割り当てられる投票方式。

 そうなれば当初の馬房数が東西で均一に振り分けられている北海道競馬と違って、この新潟競馬は関西馬のほうが多くなる可能性だってあるわけです。距離設定などの条件に多くのバリエーションを求める関西馬にとって、門戸が開放された、この3週間の新潟開催はもってこいの“漁場”であり、決めにいくべきレースとの認識が広がるのも当然の流れかと思われます。

 一方で関西馬の襲来に戦々恐々としているだけの関東馬でしょうか。昨年は3週間(2回新潟)で関東馬23勝に対して、関西馬は49勝のダブルスコア。差を見せつけられる結果に終わってますが、果敢に挑んだ関東馬たちには得るものもあったはずです。よりレベルの高い者たちと相まみえることで、ワンランク上を目指せるようになることは、オリンピックや競馬の世界でよく見られる光景です。

 ことオープンに限っては、昨年のレパードSケンシンコウが勝利し、先週のアイビスSDは初重賞制覇のオールアットワンスを始め、上位を関東馬が独占。今週の日曜新潟メイン・関越S(8月1日=芝外1800メートル)にしても、昨年は実力馬ザダルが見事1番人気に応える走りで関東馬の意地を見せただけに、今年も関東馬から目が離せません。

 1週目を終えて東西の成績は関東馬6勝、関西馬19勝(1着同着を含む)。関西馬優勢の状況は関東馬の譲れない思いとともに、残り2週間でどう推移していくのでしょうか。オリンピック開催期間への配慮とコロナ禍によっての延期で、くしくも実現した東西ガチンコ対決の熱い戦いの行方を、オリンピック、パラリンピックともども心ゆくまで堪能しようではありませんか。

(栗東のバーン野郎・石川吉行)

東京スポーツ

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