GIII
クイーンS(8月1日=函館芝1800メートル)で最も魅力的な女とは!? 新VU作戦の明石尚典記者は、あえて夏競馬の格言には従わず、実績に目を向ける。特に距離にこだわりを持って、自身を磨き続けてきたあの女は
チャーミングだ。
7月の最終盤から8月の頭にかけて。施行時期は例年と変わらずとも、今年は東京五輪シフトの変則日程で札幌9ハロン→函館9ハロンへと舞台を移す。細かい
ディテールの変化が結果にどのような影響を及ぼすのか。それはふたを開けてみないと分からないが、過去10年の連対馬のほとんどにGII、GIIIでの連対歴、あるいはGI3着以内の実績があるのは見逃せないポイント。
ステレオタイプな夏場の牝馬限定戦のイメージとは異なり、Vゴールへ向けてのハードルはそれなりに高い。伏兵台頭とは縁遠いレースキャラとなれば、あえて夏競馬の格言「格より調子」に背を向けるのも一つの手。今回はシンプルに能力最優先のスタンスでいくことにする。
キャリアのすべてを芝9ハロンにささげて、4-5-1-1の高打率。この距離のスペシャリストと言っていい
ドナアトラエンテに白羽の矢を立てる。新馬戦を除く3勝のうち、最も速い時計を叩き出したのは昨年2回東京10日目の
調布特別。前後4ハロン47秒1→46秒2のスローながらも、2ハロン目からオール11秒台を刻んで1分44秒8でフィニッシュ。なかなかの高速決着を34秒2の最速上がりで2馬身半突き抜け、非凡な瞬発力を大いにアピールした。
一方、最も遅い時計でVゴールを決めたのが今年1回中山7日目の
初富士S。今度は前後4ハロン47秒9→51秒1の
ハイラップながらも、雨中の重馬場で1分50秒6の低速決着。上がり36秒9で後続の追撃をクビ差しのいでみせた。コース、馬場状態、ラップの緩急。ありとあらゆる条件が異なる中でのこの2勝は、やはり類いまれな距離適性を備えているからこそなせる業だ。
前走の
福島牝馬S2着で、2戦目にして早々とGIIIステージにもメド。ハナ差に迫った
ディアンドルがGI
ヴィクトリアマイル0秒8差4着なら、1つ年下の
マジックキャッスル(同0秒7差3着)との能力差もイーブンの
ジャッジでOKだろう。初の洋芝もラップ&馬場不問の9ハロンマイスターにとってはお手のもの。思わぬアク
シデントさえなければ、まず勝ち負けに加われるとみた。
(明石尚典)
東京スポーツ