記者にとっては初の札幌出張(1週間だけだが…)。聞いてはいたが、涼しいを通り越して寒さまで感じるとは驚いた。せめて懐は温めたい記者が始めたのは
札幌記念の穴馬探し。
ソダシや
ラヴズオンリーユーといったビッグネームは函館調整組だからこそ、高配の使者は札幌調整組から出る可能性が高い。中でも注目しているのが
トーラスジェミニだ。
前走の
七夕賞で悲願の重賞制覇を果たしたこの馬、実はデビュー戦では15頭立てのシンガリ人気(9着)だったのをご存じだろうか。ここまで29戦8勝。省エ
ネローテが主流となる中で正真正銘の“叩き上げ”といった軌跡をたどっている馬なのだが、前走時のパドックから返し馬、そしてレースぶりと、すべてに今までにはなかったオーラを感じたのは記者だけだろうか。
その真相を確かめるべく、まず高野助手に話をうかがうと「以前は気性的に難しいところがあって、坂路でしか追い切りができなかったけど、春ころからウッドでも追い切ることができるようになり、その効果で馬の中身や息遣いがグンと良くなった。それがラストの踏ん張りにもつながっているんだと思います」と心身の充実ぶりを強調。一方、佐藤厩務員は「好メンバーが揃った
安田記念(5着)で自分の競馬をして、長い直線を踏ん張って掲示板内に残ったことで、馬が自信をつけてきたように感じていました」と証言してくれた。
心身の充実が最高峰の舞台で見せた2番手からの粘りを生み、それがさらに馬の自信となり、重賞制覇につながったことは、
七夕賞が同じく2番手からの勝利だったことにも表れている。
それでも今回の人気はそこそこ。
トーラスジェミニが札幌に滞在してくれていてホント、良かった。初コンビとなる横山和が騎乗した最終追い切りは、前に僚馬を見ながらもムキになって抜きに行くことはなく、折り合いは実にスムーズ。横山和は「すごくセンスのある馬ですね。昨年は一緒のレースで(他馬から)見ていて、モロさがあるようにも見えたけど、今は馬がパワーアップして、自信をつけている」と記者同様、手応えを感じているとなれば、もう揺らぐことなく大勝負!! 懐を温め、その日の夜ぐらいは札幌の絶品料理をテイクアウトして、狭い部屋でこっそり堪能したいと思っている。
(札幌の追跡野郎・松井中央)
東京スポーツ