秋華賞(17日=阪神芝内2000メートル)ほど条件戦経由馬に厳しいレースはない。00年
ティコティコタック優勝を最後に、条件戦経由馬は2着が2回あるだけで大苦戦している。
全休明けの火曜(12日)、
アカイトリノムスメを出走させる国枝調教師にこの案件を聞くと「牡馬なら夏の上がり馬が出てくることもあるだろうけど、牝馬は早いうちから能力差がはっきりしている。それが秋になって急激に変わることはないから、春の勢力図がガラッと変わることはないよな」。
ユーバーレーベンの手塚調教師も「
トライアルを見た限りでは、やっぱり春の実績馬の方が力は上かな」。2人の言葉を聞くと、素直に実力馬を評価するのが筋なのだが…。
それでも、あえて条件クラス経由馬
アナザーリリックに白羽の矢を立てたい。過去の条件戦経由馬はほとんど2勝クラスからの参戦で、3勝クラスを勝って臨むのは初めてだからだ。
その前走は初の1800メートル。しかも新潟の高速馬場にも対応できるか疑問だったが、難なく対応し、上がり最速の脚を駆使して差し切りV。しかも3着だった
モズナガレボシが次走の
小倉記念で古馬相手にあっさり勝ったのだから、メンバーレベルも相当高かった。
デビューから手綱を取り続ける津村は、前走を振り返り「きれいな馬場で前が止まりにくい競馬を後ろから差し切ったのだから、期待以上の走り。全体の
バランスが良くなって、本当に力をつけている」と絶賛。今回はさらに距離が2000メートルに延びるが、「マイルを使っている時から(距離が)長い方がいいと思っていた。ペースを問わずレースが上手な馬だし、距離が延びるのは好材料。不安より期待の方が大きいですね」。加えて追い風となりそうなのが、週末の雨予報。津村は「競馬がタフになった方がいい」と語っており、実際重馬場の
アネモネS(3月)では豪快な差し切りを決めている。
林調教師は「前走後はいつものように天栄さんでしっかりケアしてもらったことで、心身ともに一段成長した状態で戻ってきました。ツーターンの競馬は初めてですが、中山のト
リッキーなコースも経験しているので」と自信ありげ。追い風を受ける条件クラス経由馬が一気に女王の座へ上り詰めるシーンを期待したくなる。
(美浦の逆行野郎・松井中央)
東京スポーツ