第26回
秋華賞の舞台は阪神芝内回り2000m。晴れ渡った空の下、16頭の出走馬が良馬場の芝コースへと飛び出した。
大方の予想どおり、正面スタンド前で
エイシンヒテンがハナに立った。1番人気の
ソダシはその直後。
アンドヴァラナウトがやや遅れてつづき、その外に
アールドヴィーヴル、そして
アカイトリノムスメがつけている。
「ある程度ポジションを取っていこうと思っていました。スタートがよく、二の脚もついて、いいポジションを取ることができました」
アカイトリノムスメに騎乗した
戸崎圭太はそう振り返る。
先頭の
エイシンヒテンが1、2コーナーを回りながら、2番手の
ソダシとの差を2馬身、3馬身とひろげて行く。
さらに2馬身ほど後ろの3番手に
アールドヴィーヴル、その内に
スルーセブンシーズがいて、それらを
アンドヴァラナウト、
アカイトリノムスメらが追いかける。
向正面では先頭から最後尾まで15馬身ほどの縦長になった。
これはペースが速くなったのかと思いきや、1000m通過は1分1秒2。スタンド前の直線では向かい風だった強風のせいか、タイムは見た目以上に遅くなった。
エイシンヒテンが1馬身から1馬身半ほどのリードを保って3コーナーへ。
3、4コーナー中間点で、2番手の
ソダシが外から並びかけようとする。しかし、鞍上の
吉田隼人が手綱を持ち直しながら仕掛けているのだが、馬体を完全に併せることはできないまま直線に入った。
エイシンヒテンが先頭のまま内埒沿いを進む。
ソダシが吉田の左鞭を受けてスパートしようとするが、今ひとつ伸びが悪い。
ラスト200m地点で、
ソダシの外から
アカイトリノムスメ、内から
アンドヴァラナウトが伸びてきて、並ぶ間もなく
ソダシをかわして行く。
内の
アンドヴァラナウトと外の
アカイトリノムスメが馬体を離して叩き合う。さらに外から
ファインルージュが猛然と追い込んでくる。
アカイトリノムスメが、
ファインルージュの猛追を半馬身差で抑え、先頭でゴールを駆け抜けた。
「直線では反応よく伸びてくれました。強い競馬でした」と戸崎。
3着は
アンドヴァラナウト、4着は逃げた
エイシンヒテン。
ソダシは10着に敗れた。
札幌記念で見せた強さからすると、敗因が不可解である。やはり、同じ2000mでも、坂のある阪神だと厳しかったのか。
同じオーナーの
アカイトリノムスメは、戸崎のソツのない騎乗で力を出し切り、
母アパパネとの母仔制覇を果たした。
オークス2着の実績が示すとおり、こちらはもっと長い距離でもよさそうだ。
(文:島田明宏)