「ジャパンC・G1」(28日、東京)
騎手時代から憧れたタイトルを、ここで見事にゲットしてみせるか。
音無秀孝調教師(67)=栗東=が、
アリストテレスで戴冠をもくろむ。20年、
コントレイルと菊を争った実力馬。今春は苦戦が続いたものの、上昇ムードにある今なら大仕事をやってのけそうだ。
時は38年前、音無師が現役騎手だった時代にさかのぼる。
エリザベス女王杯2着馬
ミスラディカルで参戦したのが第3回ジャパンC(83年)だった。デビューからコンビを組む相棒と挑むも7着に終わったが、「名誉だったな。すごい興奮したというか…。半分はお祭り気分で、半分は乗せてくださった関係者にありがたいな、という気持ち」と懐かしそうに振り返る。
今とは違い、日本馬も早くから東京競馬場に滞在して調教するのが当たり前だった。「毎日乗っていたけど、勝ったスタネーラ(アイルランド)は腹痛で調教しなかったんだ。驚いたよ。運動だけで勝つんだから。追い切りだけが調教じゃないというのが、その時、分かった。運動の大切さとかもね」。今も当時の教訓が生かされているという。
さて今回、調教師としては通算10度目の挑戦となる。送り出す
アリストテレスは春こそひと息だったが、秋は
京都大賞典2着と及第点の立ち上がり。20年の
菊花賞で
コントレイルと接戦を演じた実力馬が、ここで真価を発揮するか。「苦手な不良馬場のAJCCを勝って、それが尾を引いた。でも、夏場にリフレッシュして(出来が)元に戻った。前走は勝ちに行って差されたけど、良くなっているので。左回りも成績がいい」。これまでで、とりわけ悔しい思いをしたのが09年の
オウケンブルースリ。「あの
ウオッカに鼻差の2着だから。惜しかった…」。悲願達成へ-。レース創設時から抱いていた夢を今こそかなえる。(デイリースポーツ・井上達也)
提供:デイリースポーツ