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【全日本2歳優駿回顧】レースレコードで圧勝、ドライスタウト/斎藤修

  • 2021年12月16日(木) 18時00分
 中央馬にデビューから2連勝の馬が2頭いて、ほかにも中央・地方合わせて前走まで3連勝以上という馬が4頭。馬柱には“1”の数字がずらりと並び、例年以上にレベルが高く、能力比較の難しい一戦となった。そんなメンバーでも単勝1.8倍という断然の支持を受けたドライスタウトが強いレースを見せた。

 初ダートのカイカノキセキがハナに立つと、ドライスタウトは10番枠から難なく外めの2番手につけた。1コーナーまでに隊列がほぼ決まったため、1〜2コーナーをまわるあたりでは一旦ペースが落ち着いた。しかし向正面に入ると、残り800mのあたりから前がペースアップ。3コーナー過ぎでは前2頭が3番手以下との差を広げたが、逃げていたカイカノキセキがすでに追い通しだったのに対して、ドライスタウトの手応えは楽なままだった。

 4コーナーではコンバスチョンが接近したが、ドライスタウトはそこで脚を溜められたぶん、直線を向いて残り200mあたりでいざ追い出されると、ビュンとひと伸びして振り切った。その最後の200mが11秒8。レースの中間点からペースアップし、最後にそれだけの脚を残していたというのは素晴らしい。勝ちタイムの1分39秒2(稍重)は、2009年ラブミーチャンの1分40秒0(重)を0秒8も更新するレースレコード。そのタイムを2番手からほとんどみずからつくったペースでマークしたのだから強い。1200、1400mと使われてきて、今回1600mで余裕のある勝ち方なら、さらなる距離延長にも対応できそう。重箱の隅をつつくなら、中京、東京、川崎と、ここまで左回りのみを使われてきているところか。

 ドライスタウトを前に見る位置を進んだコンバスチョンは、4コーナーで差を詰めたものの、直線で突き放され2馬身半差2着。とはいえ上がり3Fは37秒3と、ドライスタウトより0秒1遅いだけなので、勝負どころからしっかり脚を使っている。この馬自身の走破タイムでもレースレコードとなる1分39秒7で、3着馬には5馬身差をつけたので、例年の勝ち馬と比べても水準以上にあると思われる。東京、中京、園田、川崎とさまざまなコースを使われてきているので、あとは距離をこなせばダートのさまざまな条件に対応できそう。

 3着には大井のプライルード。北海道から大井移籍初戦として臨んだ兵庫ジュニアグランプリが2着コンバスチョンから3馬身差の3着で、今回はその差が5馬身に広がった。4コーナーまではコンバスチョンの直後で食い下がっていたが、そこからの決め手では前2頭とは差があった。年明けは南関東のクラシック戦線で注目となるが、距離延長は課題になりそう。

 兵庫ジュニアグランプリを勝ったセキフウは4着。上位3着までは、向正面で先行集団を形成した6番手までにいた馬たちで、セキフウはそこからやや離れた8番手あたりを追走。前半流れが落ち着き、1、2着馬に後半長く脚を使われるという展開で、その位置からでは厳しかった。

 スタートで13番のライアンが大きく躓くような格好でバランスを崩し、それに馬体をぶつけられるように煽りをくったのが12番のマリンスカイと11番のシルトプレ。ライアンは最後方からとなってレースにならず、マリンスカイシルトプレは位置取りを悪くしてしまった。シルトプレはそれでいて5着は評価できる。3着のプライルードとは1馬身半+クビという差なので、普通に出ていれば3着はあったかもしれない。高知で無敵の4連勝だったマリンスカイは、ここで力試しという一戦だったが、その大きな不利は残念だった。

 そしてさらにとなりの10番だったのが、勝ったドライスタウト。11番のシルトプレが玉突き状に落馬寸前というほど内にバランスを崩したが、ドライスタウトは好スタートを切ってその瞬間には前に出ていたため、その難を逃れた。そのあたりも含めての強さということになるのだろう。

 なお、断然人気で勝ったドライスタウトは、登録当初の段階では補欠1番だった。新馬戦とオープンのカトレアSを勝っていたコンシリエーレが回避したことでの繰り上がり出走だったが、補欠2番のクラウンプライドドライスタウトと同じく新馬戦、1勝クラスとデビューから2連勝。補欠3番のベストリーガードは4戦2勝だが、収得賞金ではドライスタウトクラウンプライドと同じ。

 中央でも近年では2歳のデビュー時からダートに専念する馬が増えてきて、その状況で中央枠が5頭で線引きされるとなると、今後も中央の高素質馬が除外となる可能性は少なからず考えられる。ただ中央枠を増やすとなると、この時期は地方馬にも北海道、南関東を中心に底を見せていない馬が複数いるので難しい。これについては長くなるので、また別の機会に。

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