中央勢は芝の
ダンビュライト以外重賞勝ち馬がいないという手薄なメンバーだったが、その中でもまだオープン以上で勝ち星がなかった
ヴェルテックスが1番人気にこたえて見せた。
長丁場のレースにはめずらしく中央勢同士の先行争い。
ダンビュライト、
ライトウォーリア、さらに
ケイアイパープルと3頭がスタートしての直線で競り合った。それでも1コーナーを回るところで枠順なりに隊列が決まると向正面でペースが落ちついた。
ヴェルテックスがこの3頭の直後につけて4頭がほぼ一団。以降は離れて縦長の展開となった。
結果的に先行集団4頭から
ライトウォーリアが脱落しただけで3頭の決着。
ケイアイパープルが2周目向正面から仕掛けていったが、これを追いかけた
ヴェルテックスが長く脚を使い、直線を向いてねじ伏せるように差し切った。
ヴェルテックスは、これまでも東京2100mの3勝クラス(春光S)を勝ち、オープンの
ブラジルCでも3着に好走していたように、長丁場のスタミナ勝負で能力の高さを見せてきた。「春光Sを勝ったときから重賞が狙える馬と話していた。距離は延びれば延びるほどいいことはわかっていた」という
横山武史騎手は、ダート
グレード最長距離の舞台で期待通りの結果に導いたことになる。勝利騎手インタビューでは「有言実行」とも言っていた。
ヴェルテックスの血統が興味深い。
母シーイズトウショウは
セントウルSなど芝の短距離重賞を5勝。その産駒、つまり
ヴェルテックスのきょうだいには
ヨハネスブルグや
ダイワメジャーなどマイルから短距離系の種牡馬が配合され、芝の短距離を中心に使われている馬がほとんど。ところが
ジャスタウェイが配合されて誕生した
ヴェルテックスは、新馬戦こそ札幌芝1500m戦を使われた(14着)が、2戦目以降はダートの中距離を使われてきた。
ジャスタウェイの産駒には、前年このレースを制した
マスターフェンサーや、今年
JBCレディスクラシック(金沢1500m)制した
テオレーマなどダート重賞の勝ち馬もいて、
ヴェルテックスのダート長距離適性はその父から引き出されたと思われる。まだ4歳だけに、今後は
マスターフェンサーと同じように、地方の2000m以上のダート
グレードでの活躍が期待できそうだ。
前走初ダートの
みやこSで13着惨敗だった
ダンビュライトは、4コーナーまでは
ケイアイパープルに食い下がっていたが、最後は脚が上がり、
ケイアイパープルから4馬身離れての3着。ダートが合うのか合わないのかというより、長距離適性でなんとか粘った感じだった。
地方馬最先着の4着は、
ダンビュライトにゴール前でクビ差まで迫った大井の
ホーリーブレイズ。先行4頭からやや離れていたものの、道中は5番手を追走していた。5着
ドスハーツ、6着船橋の
トーセンブル、7着北海道の
ルールソヴァールは、縦長のさらにうしろからの追走で、能力差もあったとはいえ前残りのレースだったので、このあたりの着順は道中の位置取りの差だった。