アメリカJCC(23日、中山芝外2200メートル)の施行距離2200メートルは、いわゆる“非根幹距離”と呼ばれる一方で、例年GIが2競走、GIIは5競走も組まれている。京都競馬場の改装工事の影響を受けた昨年に至っては
日経新春杯、
神戸新聞杯も2200メートルだったため、この距離で実に7つのGIIを施行した。
“非根幹距離”どころか、立派な“根幹距離”では? そう突っ込みたくなるような状況であり、
トップレベルの中距離馬であれば、当然のように走っているようにも思えるのだが、関西から遠征する
ポタジェと
ボッケリーニは今回が初の2200メートル。その成績を見て「えっ、ホントに?」と思ってしまうのは記者だけではあるまい。
実際、
ポタジェを送り出す友道調教師は「使ってなかったんだよねえ。ちょっと意外だった」と苦笑い。もっとも「2000メートルまでしか使っていないけど、それより短い距離の馬ではないし、2400メートルくらいの距離もこなすと思うよ。前走(
天皇賞・秋6着)後は
ジャパンC、もしくは
有馬記念なんて話もあったくらいだから」と言葉を続けた。つまりは日程や僚馬との使い分けの関係で、単純に使う機会がなかっただけ。スピードで勝負するタイプの馬ではなく、これくらいの距離のほうがむしろいいのかもしれない。
対する
ボッケリーニは明確な意図を持って、2000メートル以下の距離を使ってきた馬だ。池江調教師は「これくらいの距離に適性があると最初から思っていたけど、この血統は口向きの悪いところがあって、最初は1600、1800メートルの距離を使って、折り合いを覚えさせていく必要があったんだよね。
ラブリーデイ(
ボッケリーニの全兄で
宝塚記念、
天皇賞・秋とGIを2勝)も早い時期は1400メートルを使っていたくらいだから」と2000メートルまでに距離を限定してきた理由を説明。キャリアを積み、その弱点が改善されたことで、いよいよ“距離解禁”となるわけだ。
「前々走(
アンドロメダS2着)は休み明けで状態が上がり切る前の段階。しかもハンデ差もあったけど、勝ちに等しい競馬をしてくれた。ひと叩きした前走(
中日新聞杯)は上積みも大きく、いい状態に仕上がっていたが、スローの前残りで軽ハンデの先行馬が残る展開。それでも最後は4着まで来ているからね。いい状態をキープできているので、ここは楽しみなレースになると思うよ」
前走までの敗因、現在の状態を言及してくれたトレーナーの表情は明らかに手応えあり。初の2200メートルを味方にして、兄
ラブリーデイのような一気の
ステップアップがありそうなムードだ。
(栗東の本紙野郎・松浪大樹)
東京スポーツ