「京都牝馬S・G3」(19日、阪神)
遠かった表彰台にようやく手が届いた。春の牝馬戦線を占う重賞を制したのは、5番人気の
ロータスランド。手綱を取った岩田望は4角過ぎに早くも先頭に立つ積極的な立ち回りを選択し、これが奏功。左、右、左-。直線ではステッキを持ち替えながら、相棒を夢中で鼓舞。その懸命さに応えるように最後まで脚色は衰えず、後続の猛追を半馬身差しのぎ切った。殊勲の鞍上は、98度目の挑戦でうれしい重賞初制覇だ。
ゴール後には思わず右手で
ガッツポーズ。「やるつもりはなかったんですけど…」と苦笑いするが、「うれしい気持ちと、乗せ続けてくれた関係者の方々や、重賞で2着だった馬のことを思いながら上がってきました」と万感の思いをかみしめた。これまでは大舞台で気後れすることもあり、なかなか結果を出せなかった。それでも、「“お前は乗れるんやから、消極的になるな”と。これをきっかけにガッツある競馬ができれば」と、父・康誠からの助言に背中を押され、Vへの道を切り開いた。
管理する辻野師も喜びの弁だ。「今まで重賞を勝っていないのが不思議なくらい上手なジョッキーですから。調教師も初めての重賞勝ち(
関屋記念)だった馬。孝行娘ですね」。冬の仁川でひと皮むけた人馬が、さらなる栄光へと駆け抜ける。
提供:デイリースポーツ